サボテンの利用方法について(今後更新して充実させていきます。)
サボテンとコチニール染料
ウチワサボテンの食用以外の利用法として代表的なものが染料の生産です。染料は実際にはウチワサボテンに寄生するコチニール(カイガラムシ)という昆虫の体液から精製される。コチニールはウチワサボテンの茎節上に白い繭を作り、その中で茎節を吸汁して生活する。この昆虫は体液にカルミン酸を含んでおり、これが深い赤色を呈色します。カルミン酸はコチニールがアリなどの捕食者から身を守るための防御物質として機能すると考えられています。
16世紀にスペイン人によってこのコチニール染料がアメリカ大陸からヨーロッパに輸出され始めました。当時のヨーロッパにはこの染料を上回るものがなかったため、スペインはこの染料の輸出で莫大な利益を上げたそうです。結局、19世紀に石炭を原料とする安価なアニリン染料が開発されるまで、コチニール染料は赤色色素の中心でした。現在でもペルーを中心に、メキシコ、カナリア諸島などで生産は続けられており、日本を含めた世界各国で食品や化粧品などの加工品に利用されています。