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伊藤守弘研究室のホームページにご訪問頂きありがとうございます。当研究室は、2006年4月に中部大学生命健康科学部が設立されたのと同時に始まりました。ゼロからのスタートでしたが、研究環境を当初と比較すると、格段に良くなりました。欲を言えばキリがありませんが、さらなる研究環境づくりを進め、意義ある研究が行えるように努力しています。
私の専門は予防医学です。諸説ありますが、予防医学は、1953年米国の医学者であるレベルとクラークにより「病気を予防し、生命を延長し、身体ならびに精神の健康と能力を増進する科学と技術である」と定義されています。つまり、病気にかかってから治療するのではなく、病気にかからないための「予防」が重要だと考えています。そこで、感染症と熱中症を主な研究対象とし、健康状態に影響を与える要因(発生要因)を探索・検証し、疾病を予防する方法を確立する「予防医学」研究を進めています。
ウイルスの増殖メカニズムやウイルスの不活化メカニズム、口腔内における細菌感染の実態調査及び口腔衛生に対する意識を調査すること、灼熱(暑熱)環境が健康に及ぼす影響を明らかにし、予防に繋げたいと考えています。
2019年末より新型コロナウイルスによる未曾有のパンデミックとなり、わが国を含めた世界中が健康危機に直面しました。感染症によってこれほど世界が震撼するとは誰も予想していなかったのかもしれません。現代社会で問題となっている感染症は、多因子疾患であることが明らかであり、予防も簡単ではありません。また、熱中症も、年齢によって変わる人の体温調節機能、服装、活動といった要素だけでなく、太陽光や熱による物理現象も病態に密接に関連するため、予防が容易に行えません。さらに、口腔の衛生(すなわち、口腔ケア)は、口腔より全身を考える科学と技術であり、近年その考え方は大きく変化し、複雑化しています。当研究室では、これらの困難に対して科学で勝負し、予防のさらなる高精度化を目指し研究を続けています。
また、研究と同じくらい教育に力を入れています。学生、一人ひとりを研究のパートナーとして、学生と共に成長したいと思い、研究室を運営しています。私が好きな言葉に「質実剛健」というものがあります。「質実剛健」とは、「飾り気がなくて誠実で、心も体もたくましくて健やかなこと」を表現しており、私にはまだまだほど遠いですが、少しでも近づけるように考え、研究室運営の基本と考えています。
変化が激しい現在の社会において、人が活力を持って生きていくためにも、予防医学が重要であると考えています。人間が持つ「考える力」や「創造性」を予防医学に活かし、広く人々の健康を護(守)ることに応用させたいと思い、進めています。
中部大学 生命健康科学部 伊藤守弘
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