私たちの研究室を希望する学生・研究生へ
わたしたちの研究室は「部活みたい」と、よく言われます。学生さんたちはみんな発光生物が大好きで、頼んでもいないのに探しに行ったり飼ったりしています。ホタルが大好き、キノコが大好き、深海魚が大好きなど、みんな興味はバラバラですが、ただひとつ「それが光る」というところに惹かれて夢中になっているのです。トータルな成績は関係ありません、研究とは「これだけは」という一点にこだわり続けられる思い入れです。
研究テーマは、発光生物に関係したことであればなんでもありです。発光メカニズムの解明、発光生物の分布調査、系統進化、DNAバーコーディングなどは、わたしたちの主要な研究テーマです。そのほかにも、発光生物の飼育法の確立、見つけた新種の記載分類、発光の意義の解明、発光生物の写真撮影法、発光生物学の歴史研究、文学に登場するホタルの研究、浮世絵に描かれたホタルの研究、などもありです。
ただし、私たちの研究室では応用研究はあまり志向していません。なぜなら、そういう研究をしているところは世界にいくらでもあるからです。山下学長の言われる通り「研究活動は文化活動」だと私も思っています。すぐに何かの役に立つことではなく、(ちょっと大げさですが)誰もやっていないけどそれをやることで生命に対する考え方が変わってくるような文化的価値のある科学を目指しています。
そのためには、「どうしてなんだろう」という素朴な好奇心に訴えるような研究をしなくてはいけません。あなたが素朴に思う疑問は、世界のひとたちも疑問に思うはずなのです。もしそれが発光生物に関することであれば、ぜひわたしたちと一緒に研究しましょう。日本で「発光生物学研究室」という名前を持った研究室はほかにはありません。だから、他大学や海外からも研究しにくる人が絶えません。あなたも、「ここだからできること」を思いっきりやってみませんか。
わたしたちの研究室を希望する学生さんに、たったひとつだけお願いがあります。それは「研究室には毎日来てください」ということです。部活だったら毎日行くでしょう。それと同じです。楽しいからやっているのですから、毎日研究をやってください(もちろん授業のある仮配属期間や就活のある日は来ても来なくてもいいですが、楽しくなってくると自分から勝手に週末に来てしまう学生さんも多いですよ)。研究は楽しいですが、誰も見つけたことのない新しい発見をするためには、じっさいのところ毎日研究しても時間が足りないくらいです。だから、平日コアタイム(午前10時~午後5時)のバイトも望ましくありません。
さて、そんな趣味みたいなことをやっていて就職できるの?と思うかもしれませんが、大丈夫です(たぶん)。「私はこれを研究しているんだ!」という自信と好奇心に眼を輝かせている人を、会社の採用担当者が目をつけないわけはありません。もちろん、大学院、博士取得、研究者というようにアカデミックを目指してゆくのもいいでしょう。とにかく発光生物の専門家は世界でもごくわずかしかいないので、きっと努力すればすぐに「これだけは世界の誰よりも知っている」というその世界の第一人者になれるでしょう。
〈研究室選びについて〉
研究室のクオリティーは、そこで「何をやっているのか」ではなく、そこで「なにが成し遂げられてきたか」で決まります。一見面白そうな研究をしている研究室であっても、日本の(世界の)他の研究室でも同じようなことがやられているのであれば、その分野の中で突出した成果を挙げているかどうかを判断しなければいけません。あなたが、その研究室で何か良い研究を成し遂げたいのであれば、このことをよく考えて研究室を選びをしましょう。私たちは、発光生物の研究に関してならば、その点に強い自信があります。
〈正直であること〉
平気で嘘をつく人は、要りません。「体調が悪い」「風邪を引いた」ーーもちろん、本当に体調が悪い時は休まなくてはいけません。しかし、科学は研究者の正直さと誠実さで成り立っています。そうでなければ、誰が実験者のデータを信用することができるでしょう。平気で嘘をつく人に、科学を任せることはできません。