2018.3.30. ジョン・デイ博士
イギリスからジョン・C・デイ博士(Dr. John C. Day)が研究室を訪れました。学内招聘制度を使ってInvited Researcherとして私が招聘したのです。
デイ博士は、ホタルの研究者。ホタルの種のことからルシフェラーゼの進化まで幅広くホタル学を扱い、私の主観では、世界で最も私と研究の方向性と関心が近い研究者です。彼の出す論文はいつもシブくて大事なところをビシッと突いてくるし、だから前からずっと気になる存在でしたが、実は直接会ったことが一度もなかった。
会ってみて、やっぱり素晴らしい研究者でした。おおいにホタル学談義に花が咲き、大変刺激を受けました。デイ博士も「今回ユウイチと話をして、ホタル研究に対して強く鼓舞された」と言ってくれましたので、今回の招聘はお互いにとって大成功だったと思います。
遠く離れた国の人とのこうした深い交歓ができることは、研究者であることの特権的な喜びかもしれません。しかし、それができるためには、自分自身が研究者として矜持と信念と研究クオリティーを常に維持していかければいけません。
花が咲くといえば、ちょうど日本は桜の見頃。天気もずっと良かったので、初めて日本を訪れたデイ博士には、日本の美しい春を存分に楽しんでもらえたと思います。
デイ博士は、中部大学特別研究費(T)の支援により2018年3月26日〜3月31日まで日本に滞在しました。
2018.3.23. 卒業
今日、たくさんの指導生が研究室から旅立って行きました。ほとんどの人は、4月からはここで学んできた発光生物学とは関係のない分野へ行くことになります。優秀な博士研究員や院生が去って行くのは寂しくもあり残念でもあります。
とはいえ、結構みんな投稿論文の仕上げのために連絡を取り続けなくてはいけない人たちばかりなので「ああ、今日でお別れか」というような感慨は実はあんまり湧かないんですよね。これまでも、優秀な院生が卒業するときは、これ同じようなパターン。なかなか解放してあげられなくてスミマセン。でも、研究成果の大小に関わらず、一生懸命やってきた研究をしっかり仕上げて世に出すことが、卒業生のためであり教育者としての私の務めであると、私は思っています。
適当な写真がないので、ヒカリマイマイの写真(見せたいだけ)
2018.3.12. フィジー調査から戻りました!
中部大学の協定校であるフィジー国立大学の視察を兼ねて、3月7日から12日までフィジー調査に行ってきました。そして、どうしても一度でいいから見てみたいと願っていたあの発光カタツムリに遂に出会うことができました!奇しくも私の48歳の誕生日に、その長年の夢が叶ったのです。
カタツムリは、世界に推定3万種いるとされますが、そのうち発光するのはこのヒカリマイマイQuantula striataただ一種のみ。口の辺りが7秒間隔くらいで緑色にゆっくりと点滅します。その光は思っていたよりもずっと強く、忘れられない強烈な感動を覚えました。世界にこんなとんでもない生物がいるなんて!しかもその鮮明な発光する様子の写真が撮られたのは間違いなくこれが初めてです。
一番見たいと思っていた発光生物をとうとう見てしまった今、私はこれから何を夢みれば良いのだろうという変な虚脱感に襲われています。フィジー奥地を粘り強く案内をしてくださったブルーウィル語学学校の平野さんと、発光生物を撮るなら(Nikon D5には一歩及びませんが)ほぼ最強のカメラNikon D500(最大拡張ISO 1,640,000)を貸してくださった八丈島の山下さんに深く感謝します。→結局D500は私も買っちゃいました。
2018.3.3. 針山先生の退職記念講演会に出席してきました!
浜松医大の針山孝彦先生の退職記念講演会に出席してきました。針山先生は、もともと研究者として深く尊敬していたけれども、「自分の興味の赴くままに存分に研究して自分の知りたいことを解明できればそれで良い」という(私の理想とするところの)タイプのストイックな研究者だとずっと思っていました。でも、最近のご活躍を見ていて、どうもそれだけの人じゃないなという気はしていたんですが、記念講演を聞いて、さらに祝賀会と二次会にまで参加させていただいて、それだけの人じゃなかったということがよくわかりました。理想という域を超えて、もはや凄いとしか言いようがない!
研究はトコトン突き詰める、やるからには最高トップを目指す、学生の温かな科学教育こそ宝物、家庭を大事に、雑務はきちんとやるけれども雑務に埋もれない、仲間を作って成果を効果・作戦的に出す、そのためにはピエロにもなる、社会を持続するために自分に何ができるかを考え続ける、などなど。
これらのうち、今の僕にできていることって言ったら、最初の「研究はトコトン突き詰める」ってとこだけかも(汗)。
どうしてこんなことが一人の研究者にできちゃうんだろう。秘訣は他にもいろいろあるんだとは思いますが、ひとつわかったことは睡眠時間を削っているということ(そうしないと、針山先生ほどの才能の持ち主でも仕事が追いつかない)。才能のない僕にも真似できることといったら、これくらいかなぁ。と思いつつも、さっそく昨夜はホテルで朝までぐっすり。こりゃだめだー。
私は、考え方や知識は基本的に書物から得ることを主義としていますが、今回の記念講演会は100の書物よりも強いインパクトがありました。
2018.2.20. 『広辞苑を3倍楽しむ(その2)』がもうすぐ発売です!
岩波科学ライブラリー『広辞苑を3倍楽しむ(その2)』が、2月23日にいよいよ発売です!私は、「おきあみ」を分担執筆しています。そして、私が撮影した発光オキアミの写真が表紙!!たしか、近所の釣具屋さんで800円で買ってきた冷凍ツノナシオキアミ(商品名アミエビ)でした。
ちなみに、冷凍オキアミの発光実験ですが、暖めたりして急いで解凍するとあまりうまくいかないみたいです。冷たい水でゆっくり解凍してみてください。
AMAZONでも購入できますhttps://www.amazon.co.jp/gp/product/4000296701/
2018.2.14. 戸田深海魚大学で講演します!(3月18日)
3月18日(日)に深海魚で有名な静岡県沼津市戸田(へだ)で表記イベントに登壇します!深海魚大学”特任教授”のココリコ田中さんと猿渡先生(こちらはホントの深海魚の先生)との深海魚トークもあります。深海魚撮影会も同時開催されますので、是非みなさん戸田へお越しください。場所は、道の駅くるら戸田。開校は10時からです。
10時35分ー11時05分は、私の講話「深海は光の世界??発光魚のふしぎ」です。
2018.1.26. モノシリーの楽屋ばなし
フジテレビ「モノシリーのとっておき」が放送されました。僕も見ました!実家の母親に「ちょっと太った?」と言われました。そういえば、隣に座ってたモデルの朝比奈彩さんは、実物はものすごーく細かった。テレビに映ると実際より太く見えるというのは本当のようです。ちなみに、カンニング竹山さんは、実物も見たまんまでした!
裏話ですが、あの「モノシリー」、ゲストたちが好き勝手に喋っているようで実はキッチリした台本があります。でも、僕が言うはずの部分を古舘さんがどんどん喋ってしまったので(笑)、僕はただ「はい」とか「そうなんです」とかしか言えなかった。。
と思ってたんですが、実際に番組を見てみると、まあそれなりに僕も頑張って説明してますね!うまくつなぎ合わせてくれたテレビ局の編集力に感心しました。スタジオには大勢の裏方さんがいて、ああこうやって番組は作られていくんだなぁと思いました。
それでも、他のモノシリーさんと比べると僕には長々と喋っているシーンがありません。あの場でペラペラと喋れるタレント力のある人はすごいなあと思います。そもそも僕は無口な方でして、喋らなくても自分の研究だけしてればいいかと思って研究者の道に進んだってのもあるので、それはそれでいいんですが。
結局、ホタルミミズのシーンはすべてカットになったみたいです。お台場で丸一日かけてロケーションして、スタジオ収録の際にも使われていたんですが。やはり「夕食時の時間帯にミミズはアウトだろう」みたいなことになったんでしょうか。ちなみに、ホタルミミズに関しては、テレビ取材はしたけどボツということがこれまでにも何度かあります。お台場で光るミミズが採れるって、すごく面白いと思うんですが。残念!
でも、ホタルが乱舞しているシーンを見る場面では、古舘さんが「これぜんぶ求愛行動でしょ!ヤラしいですねー」と連呼してたんですが、そこが全部カットされてたのは良かったです(笑)。
2018.1. 19. 「モノシリーのとっておき」放送まもなくです!
フジテレビ「モノシリーのとっておき すんごい人がやってくる!」は、来週1月26日(金)午後7時です。是非見てください。下は番組ホームページより。白衣着てます(テレビ局の借りもの)。。
大学HPよりhttps://www.chubu.ac.jp/news/detail-3499.html
内容紹介https://tv.yahoo.co.jp/program/?sid=403454
2018.1.10. 吉村仁先生に研究室セミナーでご講演いただきました!
数理生物学で知られる静岡大学の吉村仁先生に「素数ゼミの謎から」というタイトルでご講演いただきました!また、吉村先生の共同研究者でホタル点滅の生態学のエキスパートである高津英夫さんには「Sexual flash communication in fireflies」というタイトルでご講演いただきました。どちらも非常にエキサイティングな講演でした。ありがとうございました。
お二人の講演後に軽食で談話をしましたが、吉村先生のお話は生物学を飛び越えて、素粒子論からグローバル経済まで、お気に入りのラノベからトップジャーナルへの投稿の仕方まで、縦横無尽に広がり、大変刺激を受けました。とにかくアクティブでとにかく忙しいはずなのに、なぜかゆったりしている。うらやましい。
高津さんは、控えめなお話ぶりですが、話をしてみると、とんでもなく膨大な知識と正確な科学的見解をお持ちの方であることが瞬時にしてわかり、在野にこれほどの人物がいたものかと驚愕しました。とにかく、ホタルの点滅発光に関しては、世界の常識を塗り替えるような発見をしている、すごい研究者です。晴耕雨読、これぞ私のなりたい姿かもしれません。
左端が高津英夫さん、後列左から2人目が吉村仁先生です。
2018.1.4. 八丈ビジターセンターで講演します!
明けましておめでとうございます。本年も発光生物学研究室を宜しくお願いします。
今年3月3日(土)に、八丈ビジターセンターで講演会をさせていただきます。ビジターセンターには本当に長年お世話になっているので、今回は、本当に「させていただきます」という感じです。八丈島と発光生物の関わりと最新の成果についてお話しさせていただき、今までお世話になった島の方々に少しでも恩返しができればと思います。張り切って準備しますので、ぜひみなさんご参加下さい(会場は八丈島ですが)。
ポスターは、ビジターの菊池健さんに作っていただきました。背景は、我々が八丈島のヤコウタケを使って明らかにした発光キノコの発光物質ヒスピジンの化学構造と分子式(C13H10O5)です。八丈島名産のヨコスジタマキビモドキ(左上)とニッポンヒラタキノコバエ(左下)の発光写真は、台湾の友人・方華徳さんが撮影したものです。僕の写真が大きくてちょっと恥ずかしいですが、スーツは最近仕立てたお気に入りのJump the Gunです。
八丈ビジターセンターhttp://www.hachijo-vc.com
2017.12.15. 「Chinese National Geography」に八丈島の発光キノコと私が紹介されました!
中国版ナショジオ「Chinese National Geography(中国国家地理)」の2017年11月号に、八丈島の発光キノコと私のコメントなどが紹介されました!八丈島の山下崇さんの素晴らしい写真もたくさん出てます。
「大場裕一是日本中部大学応用生物学部環境生物科的一名教授、他従17年前開始研究発光生物、発光蘑菇也在其中」と紹介されてます。「生物発光的原理千差万別」ーーだいたい意味がわかる。
中国国家地理HPhttp://www.dili360.com
2017.12.13. フジテレビ「モノシリーのとっておき」の収録がありました!
古舘伊知郎さんの番組フジテレビ「モノシリーのとっておき すんごい人がやってくる!」の収録がお台場のフジテレビ本社V2スタジオでありました!ゲストはカンニング竹山さんと朝比奈彩さん。古舘さんのトーク炸裂で、私はなんだか「はい」とか「そうなんです」とか言ってるうちに終ってしまったような気が。。。まあ、古舘さんが発光生物に興味津々だったようで、とりあえず良かったです。
写真は、フジテレビ楽屋にて。お隣の楽屋には、橋本環奈さん、山里亮太さん、いろんな名前がありましたが、とりあえず歩いてるのを見かけたのは具志堅用高さんとAKBっぽい感じの皆さん(よくわかっていない)。いろいろと普段できない経験ができました。
放送日は2018年1月26日(金)19:00-19:57だそうです(関西テレビのみ2018年2月6日19:57-20:54放送)。みなさん、是非見てください。僕のトークはたいしたことないですが、映像は素晴らしいものが揃ってます。ちなみに、なぜか白衣を着て登場しますので(ふだん白衣は着ないんですけど)。。
2017.12.9. 中日新聞に大府東高校で行ったホタルミミズ調査のようすが紹介されました!
大府東高校で昨日行った「あいちSTEMハイスクール」教育推進事業の活動のようすが、今朝の中日新聞(知多総合版?)に大きく紹介されました!ちなみに、記事に書かれている2012年の東海市での発見は、院生の蟹江秀星くん(自宅が東海市)によるものです。また、記事の中の発光するようすの写真ですが、新聞記者さんの立派なカメラではなぜか撮れず、生物教師の伊藤苑良先生がコンデジで撮ったらバッチリ撮れたので、その写真が使われています。
その日は朝から雨だったのでうまくホタルミミズが探せるか心配だったんですが(雨が多く降るとホタルミミズを探す時の手がかりとなる糞塊が流れて探せなくなってしまう)、高校の方であらかじめいそうな場所にブルーシートを被せておいてくれたおかげで、無事調査は成功。ほぼ全員がホタルミミズを探し出し、生徒全員にその発光実験を体験してもらえました。
CHUNICHI Webhttp://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20171209/CK2017120902000047.html
中部大学お知らせhttps://www.chubu.ac.jp/news/detail-3496.html
2017.12.4. 中日新聞「内堀外堀」に紹介されました!
2017年11月22日の中日新聞朝刊(名古屋市民版)「内堀外堀」コーナーに紹介されました!10月に「この人」で取材をしてくださった記者の小椋さんが、もうひとつ記事にしてくださったようです。
「道具として使うことには興味がない」。。。はい、その通りです。でも、道具にしなくても、その生物がどういう生き様をしているのかを解明することは、生物同士の関わりやそれを取り囲む環境の理解につながるはずです。また、記事にも書いてある通り、子供たちや若い学生が科学や生き物に興味を持つきっかけが作れれば、それは道具ではないけれども、十分に世の中の役に立っていると思うのです。そして、なにより、何が道具として役に立つのか、それがわからないから大学で研究するんだと思うのです。。。というのは理想論でしょうか?
ちなみに、中日新聞本社が近くにある名古屋城の外堀は、都心部では珍しくヒメボタルがたくさんいることで知られています。
中部大学プレスニュースhttps://www.chubu.ac.jp/news/detail-3482.html
2017.12.1. 発光生物リスト(LLL)を更新しました!
世界中の発光生物の種名をすべてリストアップしようという我々の無謀なプロジェクトLLL(Living Light List)の一部を更新しました。今回は、魚類のリストを追加修正してv1.11としてアップロードしました。現在、世界の発光魚類は1523種です。
リスト作りで一番大変なのは、学名の変更経歴を調べること。発光することがわかった当時と現在では、学名が変わっているケースが多々あります。また、当時1種とみなされていたものが現在2種に分けられていた場合、当時発光することがわかったのはそのどっちなのかという問題も出てきます。そういったややこしい問題を丁寧にチェックしながらリスト作りをしています。
たとえば、ホタル科の中でもホタル亜科(Luciolinae)は、新しい属名がどんどん作られているせいで、リスト作りが非常に困難なグループです。そういうグループは、とりあえず日本産のものだけリストを作ってアップロードしています。
LLLは、クリエイティブ・コモンズの国際ライセンス下で情報提供されています。データの使用は自由ですが、我々の判断でリストアップしているものですので、使用する際には「LLLのデータを使った」という何らかのクレジットを入れていただけるとありがたいです。
LLLのページhttps://www3.chubu.ac.jp/faculty/oba_yuichi/living_light_list/
2017.11.19. 朝日新聞「先端人」に紹介されました!
今日の朝日新聞朝刊(東海版)のコーナー「先端人」に紹介してもらいました。
よく読むと、「マツタケ以外のキノコをスーパーで買ってきた」とか、「父は岩石学者だが、石には全く興味が無かった」とか、「どう役に立つのわからないことをしている変な人、に共感」とか、なにげに笑いが盛り込まれてます。
写真で変なポーズをとってますが、実はヘイケボタルの成虫を手に乗せてそれを見せようとしてます。小さすぎて全然見えないですねえ。
朝日新聞デジタルhttp://www.asahi.com/area/aichi/articles/MTW20171120241370001.html
中部大学ホーム>お知らせhttps://www.chubu.ac.jp/news/detail-3476.html
2017.11.7. 発光キノコ切手!
とうとう禁断のアレに手を付けてしまった。それは「切手」。もともと収集癖があることは自覚していましたが、小学校から中学校のころに切手収集にハマって苦しい思いをしたので、それからずっと収集癖は封印していたのですが・・
切手集めを始めたきっかけは、父親がアメリカの友人から受け取った手紙に付いていたアポロ11号月面着陸の記念切手(1969年)をもらったことでした。それ以来、切手集めにハマって、甲冑とか国体とか全然興味がない図案の切手まで、ただ手元に揃えたいというだけで欲しくなり、それが止まらないというつらい思い出が切手にはあるのです。
今回30年ぶりくらいに手を出してしまった切手というのは、発光キノコ切手。とある本で見かけてどうしても欲しくなり、切手集めを解禁してしまいました。
ちなみに、発光キノコの切手は『世界のキノコ切手』飯沢耕太郎(2007年)を調べたかぎり、おそらく世界に2枚しかない(菌糸だけが光るナラタケの切手は除く、もし他にあるのを知っている人がいたら教えてください)。そしてその2枚とも、運良く別ルートからあっさりゲット。これでコンプリートしたので、またしばらく切手集めは封印しようと思います(ホタル切手に手を染めるかどうか悩んでいますが)。
切手はいいなぁ。印刷なんだけど本物、という浮世絵に通じる面白さがある。
写真左が西サモア(1985年)の切手で図案はヤコウタケ。写真右がベトナム(1996年)の切手で図案はアミヒカリタケです。キノコ切手は世界に約4000種類あるそうですが、そのうち発光キノコがたった2枚というのはとても少ない。おそらく、食べられるキノコと毒キノコ(注意喚起のため)の切手が多く作られるので、食べれもせず毒でもない発光キノコは図案としてあまり選ばれなかったのだと思われます。そういう意味では、毒キノコであるツキヨタケ系の図案があっても良さそうなんですが。
2017.11.4. 自然史学会連合会の体験教室!
自然史学会連合会のイベントでアクアマリンふくしまに行ってきました。今回は、日本動物学会からということで「発光生物を観察しよう」という出展です。内藤くんと小西さんが頑張っていろいろな展示を出してくれたおかげで、なかなかの盛況でした。
秘密兵器は、写真右に見えている大きな黒い物体。最近導入したばかりの折りたたみ式暗室です!全面ガラス張りの会場だったため昼間はとても明るくて、これなしでは発光の展示は不可能でした。
日本魚類学会や日本菌学会からの研究者と交流を深め、アクアマリンふくしまの方々とお知り合いになれたことが最大の収穫です(ホタルミミズも収穫しましたが、ちなみに福島県では72年ぶりの発見!)。
ひじょうに珍しいアオメエソの生体飼育展示も見てきましたし、飼育担当の方のお話もがっつり聞くことができました。はるばる行ったかいがありました。
2017.11.2. 珍菌賞、こんどは朝日新聞に!
日本珍菌賞が、今朝の朝日新聞朝刊の科学欄に紹介されました!
発光キノコの発光メカニズムはこれで決着がついたと思っていますが、この新聞記事にあるとおり、発光の役割はまだよくわかっていません。まあ、一筋縄にはいかないだろうなぁ。ぜひ解明してやる!という骨のある大学院生を募集中です。
2017.11.1. 科博国際シンポジウム(11月10日〜12日)で講演します!
上野の国立科学博物館で行われる国際シンポジウムで講演します。私の出番は2日目(11日)の10:30〜11:00です。講演タイトルは「Mushroom Bioluminescence: Myth and Science」です。発光キノコの話をしてきます。菌類研究のトップランナーたちが勢ぞろいしているので、緊張するなぁ(といいつつまだ何も準備してない)。
科博国際シンポ『菌類と動物・植物・人間の関わり』http://www.kahaku.go.jp/event/2017/11sympofungal/images/sympo2017.pdf(PDF形式:約0KB)
2017.10.25. 珍金賞の副賞が届きました!
第5回日本珍菌賞の副賞として南方熊楠のデスマスク(3Dクリスタル)が送られてきました!実物大だったら怖いと思ってましたが、コンパクトで素敵なクリスタルだったので安心しました。珍菌賞にふさわしい珍なる副賞をありがとうございました。
南方熊楠については、以前いろいろ調べたこともあって興味を持っています。熊楠がサイエンティストかどうかという点ではいろいろ考えも分かれますが、少なくともエモーションの部分で、熊楠こそは真の学者だなぁと私は思います。あの、グイグイ押して行くブルドーザーのような勢いと馬鹿力!あれこそが学問だと思うのです。
大場裕一(2013)南方熊楠と発光キノコ.『光るキノコと夜の森』岩波書店 p. 57.
大場裕一(2013)熊楠と妖しく光るキノコのなぞ.『科学』岩波書店 2013年8月号 pp. 914-915.
2017.10.23. ロシアに行ってきました!
共同研究者であり友人であるヴァル・ペテュシコフ(シベリア連邦大学)と イリア・ヤンポルスキー(ロシア科学アカデミー)を訪ねて、クラスノヤルスクとモスクワに行ってきました!ふたりとも生物発光の分野で活躍する私の尊敬する凄い人なのだけれども、会ってみて、それぞれの研究スタイルの違いを目の当たりにして、これから私は何を目指せば良いのかいろいろ考えさせられました。
70歳のペテュシコフは、ひたすら自分で発光ヒメミミズを集めてルシフェリンを精製しています。自分がやりたいと思っている研究に専念している求道者タイプです。下村脩先生の『光る生物の話』(朝日新聞出版)のなかで「世界中にひとりだけ」(P36)と大絶賛されているのも、その理由が本人と話してよくわかりました。研究が楽しいというよりは、私はこれをやるんだという宿命感のような、下村先生の研究スタイルに通じるものを感じました。
一方のヤンポルスキーは、38歳にしてロシア科学アカデミー・生物有機化学研究所のトップスター。すでに、研究室とは別の棟に秘書付きの立派な居室を構えて、たくさんの研究チームを総指揮するリーダーになっています。「実験ができなくなって、まだ3年くらいだ」と言ってましたが、今は研究所をよりよくするための仕事で大忙しの様子。「これからもずっとこんなに忙しいのか」と聞いてみたら「たぶんそうだな」とまんざら嫌でもなさそうな様子だったのが印象的でした。
さて、私はどっちになりたいんだろう。あるいはそのどちらでもないのだろうか。
写真左:ペテュシコフ博士と。「オサムもこの椅子に座ったんだ」と言って座らせてもらった。
写真右:ヤンポルスキー博士(中央)と有機合成チームのメンバー。
2017.10.9. 中日新聞「この人」に紹介されました!
今朝の中日新聞朝刊3面「この人」に日本珍菌賞の受賞とともに、私自身が紹介されました!中日新聞記者の小椋さん、丁寧な取材ありがとうございました。僕が思いつくまま喋った内容が、’面白い’をキーワードに見事に一つの紹介記事として繋がっているのはさすがです。
取材で話が弾んだせいか、私にしては珍しく少し笑顔の写真ですね。ちなみに、私の心酔する漱石は写真を撮られる時に絶対に笑顔を見せなかったとか(漱石唯一の微笑んでいる顔写真は、雑誌社が加工したものだと言われています)。
珍菌賞の受賞は、中部大学ウェブサイトの「プレスニュース」でも紹介されています。
2017.10.7. 「海底二万里」を読みました
深海発光生物に関する記述をチェックしておこうと思って、ヴェルヌ『海底二万里』(1870)を読みました。大昔に読んだつもりだったけど、実は初めてだったみたい。
意外なことに、この本には深海の生物はほとんど出てきません。10ヶ月で2万リュー(8万キロ)に及んだノーチラス号の世界一周「潜水」探検は、ときに深度16,000メートル(!)にまで潜ったというのに、海洋生物の記述はせいぜい深度10メートルくらいのところで観察されたものがほとんどなのです。
発光生物があまり出てこなかったのは残念でしたが(ヤコウチュウやオキクラゲなどの「燐光を発する」生物は少しだけでてきます)、違う意味で大変興味深い物語でした。
この物語の主人公であるパリ自然史博物館教授のピエール・アロナクス博士は、ある出来事のせいでノーチラス号の一員となり、誰も見たことのない海の中の生物を思う存分観察できるけれども、二度と地上世界には戻れないという運命に飲み込まれてしまったのです。次々と新しい発見や観察をしても、それを発表することができない、とは科学者として何というジレンマでしょう。そのような中で、アロナクス博士は科学的好奇心には抗い難く、どちらかというと、このままノーチラス号で一生を終えても悔いはないと思い始めます。果たして、これが私だったらどうでしょう。「発表できなくてもいいから観察したい」などという純粋な科学的好奇心を持っていられるでしょうか。これは、いつも「心に知的好奇心を」と言い続けている私に対して、「それは本当の好奇心か」という難問を突きつけてきます。
結局、ネモ船長(ラテン語で「だれでもない」を意味する名前)の正体は、その名のとおり殆ど明かされないまま、アロナクス博士とその仲間(実地には弱いが生物名を言われればたちどころに分類群名を唱えることのできる使用人コンセイユと、生き物には詳しいが捕まえて食うことだけしか興味のない銛打ちネッド・ランド)はノーチラス号を間一髪で脱出し、物語はエンディングとなります。それは、アロナクス博士にとって、自分しか知らない自然界の事実を地上で発表することが叶った歓喜の瞬間だったに違いありません。
2017.9.25. 宝島社『深海生物の世界』!
NHKスペシャル『DEEP OCEAN』が書籍化されて、宝島社から出版されました。僕は、発光生物のパートを監修しています。
僕が「日本国内での発光生物研究の第一人者のひとり」と紹介されてます。子供の頃からこの手の本が好きで、「第一人者」なんていうのに憧れてましたが、いざ自分がそう書かれてみると……「嬉しい!」というよりは「この程度の学識ですみません」という感じです。
「ついに解けた大きな謎!答えを見つけた日本人科学者」という見出しもすごいですね。たしかに、写真を見るとそんな自信に満ち溢れたような顔をしてます。たまたまそんな顔をしてたところを使われただけです。
『深海生物の世界』宝島社https://www.amazon.co.jp/dp/4800273056/
2017.9.23. 珍菌賞!
第5回日本珍菌賞を受賞しちゃいました!
珍菌賞とは、面白い菌類を研究している人に贈られる映えある賞。私がやってきた発光キノコの研究が認められたようです。
日本には、キノコにめちゃめちゃ詳しくて、ものすごい情熱を持っている人がたくさん居れられるというのに、その方々を差し置いて私のような発光生物しか知らない者が選ばれるなんて、なんだか申し訳ない気持ちです。
日本珍菌賞とはhttps://sites.google.com/site/youngmycologists/award
でも、面白いかどうかが研究で一番大事、と日頃から思っている私としては、その点が評価されたことをとても嬉しく思います。
ありがとうございます。
2017.9.22. レジェンド
生物発光のレジェンド・磯部稔先生(名古屋大学名誉教授)に、著書を差し上げました!これは、そのときのツーショット。ちなみに場所は、某所のカラオケバー。二人とも酔っ払ってるからこそ実現した永久保存版の貴重な一枚です!磯部先生の18番が谷村新司の『昴』であることも判明。発光生物学史の参考情報としてアーカイブしておきます。
2017.9.16. 春日丘中学校「スペシャリストを目指そう!」を監修しました
中部大学春日丘中学校の文化祭目玉企画「スペシャリストを目指そう!」の中で、「ウミホタルを見てみようー不思議な発光生物の世界ー」というテーマを監修して、今日がその本番でした。
乾燥ウミホタルと発光バクテリアの弱い光を来場者に見てもらう工夫を、中学1年生から3年生までの10人の生徒が頑張って準備してくれました。
発光生物の基礎知識のほかに、①部屋は暗くするけれども安全のために真っ暗にしてはいけないこと、②ネットで調べた情報はダメで必ず本で確認すること、③本に書いてあったことを説明するのではなく自分が疑問に思うことを調べて説明する、など、サイエンスを伝える際に重要なことがらを指導しました。
事実の細かい確認などはやりましたが、全体の流れや誘導などはすべて生徒さん達のアイデアに任せました。おかげで、発光生物の面白さが来場者に伝わる若々しくて元気なイベントになりました。
2017.9.2. 科博の「深海」展に行って来ました!
上野の国立科学博物館で開催されている人気企画展「深海」に行ってきました!スゴかったです、人の数が。。招待券を持ってたのでチケット売り場に並ばずに済んでまだ良かったですが、それでもチケットを見せてからも入場制限があって、結局、入館まで1時間待ちました。
常設展示を見ながら時間が来るのを待って、さっそく入館してみると、中もすごい人の数!いつまで並んでもデメニギスの標本の前にたどり着けません。結局、一通り見るのに1時間半以上かかったなぁ。
それにしても、深海は大人気ですね。私も深海は好きですが、そこまで魅力的かなぁという気もしないでもない。だって、深海は、実際に自分の目で観察したり触ったりできない世界じゃないですか。生き物は、自分で探してみたり飼ってみたりするといろんな発見があります。深海は、それがストレートにやれないもどかしさがあります。
「小さなカイアシ類がセレンテラジンを作っていて、それが食物連鎖でいろいろな深海発光生物の発光に使われているのではないか」という私の仮説が、パネルに紹介されてました。文章最後の「受け渡されていたと考えられている。」というところに張り紙で修正されてたのが気になったなぁ(断定してたのを和らげた?)。実際、これはひとつの仮説です。
2009年にセレンテラジンの合成能が証明されたという内容の論文はこちら
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X09019925
私の「セレンテラジン仮説」を紹介している本についてはこちら
2017.8.30. リプリント版『Living Lights』を入手!
先に紹介した1887年の本『Living Lights』。「じっくり読んでみます」とは言っても、130年も前の稀覯本を気楽に持って歩くわけにもいかないし、書き込みもできません。そう思っていたら、こんな便利なペーパーバックのリプリント版を手に入れました!内容をそのまま印刷し直しただけで、お値段もオリジナル版の30分の1以下!これで安心して、食事中でも電車の中でも読むことができます。
「だったら、最初からこのリプリント本で十分じゃないか」と思うかもしれませんが、そこは発光生物マニアのこだわるところ。当時の本物、しかも初版でなくてはダメなんです!しかも、それだけではありませんでした。なぜか、リプリント版は挿絵が部分的に消去されてヒドいことになっていました(左がオリジナル版、右がリプリント版)。
これでは美しいイラストレーションが台無しです。下のはもっとひどい。
どうしてこうなったんでしょう。挿絵には文字とは別な版権があるのでしょうか。あるいは、オリジナル本の汚れやシミを自動的に消す仕組みがあって、そのせいでこんなことになったのかもしれません。
もちろん、オリジナル初版を持っている私としては、このことはちっとも残念じゃないんですけどね(むしろ嬉しい)。
2017.8.28. 19世紀の発光生物本!
ホルダー『Living Lights』(1887年)初版をついに手に入れました!発光生物を主体に扱ったポピュラーサイエンス書としては最も初期のものになると思います。130年前の本としては素晴らしいコンディションです。
著者のチャールズ・フレデリック・ホルダー(Charles Frederick Holder, 1851-1915)は、カリフォルニア出身のポピュラーサイエンスライターであり、スポーツフィッシングに関する著作のパイオニアでもあります。
この本に収められている美しい26葉のイラストレーションの中には、発光するユカタンビワハゴロモやマンボウやアオサギの姿も描かれています。もちろん、これらの発光は現在はほぼ否定されているわけですが、文章をよく読んでみるとどれも、その発光については疑わしいところがある、とはっきり書かれていました。ポピュラーサイエンス書と侮るなかれ!今では埋もれてしまっている貴重な情報の山が見つかりそうです。楽しみながらじっくり読んでみたいと思います。
ところでこの本が出た1887年といえば、ラファエル・デュボアがヒカリコメツキを用いて有名な古典的ルシフェリンールシフェラーゼ実験(1885年)を行い、近代的な発光生物学を築き上げた直後です。その最新情報もしっかり盛り込まれているところがまたすごいんですが、よく読んでみるとなんか解釈がおかしいような。。。まあ、この頃はまだ発光反応の概念が殆ど分かっていない時代ですから、仕方がありませんね。
2017.7.28. 発光生物の博物画!
おそらく100年くらい前の百科事典の挿絵だと思われます。発光生物だけを並べた博物画はとても珍しい!きれいに額装して、私の部屋に飾ることにしました。作品に縦横比を合わせたオーダーメイドの額です。マットも渋めのものを選んでみました。
ホタルやムネエソは全身が光っているし、クロオビトカゲギス(右下の長い魚)は発光種ではない、など不確かなところも多々ありますが、ヒカリボヤやコノハウミウシが発光することが既にわかっていたんだなぁ、とか、当時から発光生物は興味を持たれていたんだなぁなどと、この美しい博物画を見ながら発光生物学の歴史に思いを馳せています。
絵のタイトルは”Phosphorescent Animals”です。Bioluminescence/Bioluminescentという言葉は「発光生物学の父」ニュートン・ハーヴェイ(1887-1959)が考案したといわれていますから、この博物画が描かれた当時はまだありませんでした。現在は、Phosphorescenceは「燐光」(光を当てておくと、そのあとも発光が持続する現象で、蓄光もその一種)を表す言葉として、生物発光とは区別されています。
2017.7.25. ツバサゴカイを採りに行ってきました!
今泉久祥さん(志摩里海学舎)のご案内で、志摩までツバサゴカイの仲間を観察しに行ってきました!ものすごくたくさんいたのでびっくり。ツバサゴカイは泥の中に作ったU字の管の中に棲んでいて、引き潮になると両端が現れます。管の中の本体は、刺激すると青く光ります。普段はどういうときに光って、それがどんな役に立っているのか?実に謎な生物です。
多すぎて、どれとどれが管の両端なのかわからない!(掘るときに困る)
2017.7.20. ヤコウタケとツキヨタケの発光物質に関する論文が受理されました!
発光キノコの発光メカニズムに関する論文がまた一報アクセプトされました!今回もロシアとブラジルとの共同研究ですが、今回は私が筆頭著者で連絡著者になっている「私たちが主力」で行った研究です。主に実験をしてくれたのは、一昨年修士課程を卒業した鈴木義基くん。おかげで、ヤコウタケを通じて10年以上おつきあいしてきた八丈島の方々との協力が、ようやく実を結びました。今回の論文で明らかにしたことは次の4点。
1 日本のヤコウタケとツキヨタケが、微量であるが確かにヒスピジン(ルシフェリン前駆体)をもっていること
2 ヤコウタケとツキヨタケが持っている成分のうち、発光活性をもっている物質はヒスピジンのみであること
3 ヤコウタケの幼菌(傘が開く前の光らないキノコ)にヒスピジンをかけると発光すること
4 ヤコウタケの抽出物に、ヒスピジンの生合成ユニット(カフェー酸、マロニルCoA、ATP)を加えると発光すること
以上の結果は、発光キノコがヒスピジンを微量しか持っていない理由が「発光に必要なヒスピジンを発光反応産物であるカフェー酸からゆっくりリサイクルしながら発光しているから」であることを示唆し、また、発光キノコが連続的に光り続ける仕組みを説明するものです。われわれが提唱してきた発光キノコの発光メカニズムに関する仮説(Purtov et al., 2015. Angew. Chem.; Kaskova et al., 2017. Sci. Adv.)に対して出されていた批判にもすべて答えた形となっています。
Oba Y*, Suzuki Y, Martins GNR, Carvalho RP, Pereira TA, Waldenmaier HE, Kanie S, Naito M, Oliveira AG, Dörr FA, Pinto E, Yampolsky IV and Stevani CV* (2017) Identification of hispidin as a bioluminescent active compound and its recycling biosynthesis in the luminous fungal fruiting body. Photochem. Photobiol. Sci. (in press).
http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/pp/c7pp00216e#!divAbstract
2017.7.19. 蝶類研究資料館の特別企画「藤岡コレクションと愛知県のチョウ」
中部大学蝶類研究資料館では、夏の特別企画として「藤岡コレクションと愛知県のチョウ」を開催いたします。期間は8月16日から8月31日まで。場所は中部大学名古屋キャンパス(鶴舞)です。今回は、三河昆虫研究会で長いお付き合いのある杉坂美典さんの素晴らしいコレクションをお借りしました。単にチョウの標本が並んでいるだけではなく、工夫がいっぱい見て納得の展示ですから、昆虫に興味のある学生さん、や夏休み自由研究の題材探しの親子連れなど、みなさんでぜひお越しください。
企画案内https://www3.chubu.ac.jp/museum_of_butterfly/news/11474/
蝶類研究資料館HPhttps://www3.chubu.ac.jp/museum_of_butterfly/
2017.7.15. 科博で特別展「深海2017」が始まりました!
上野の国立科学博物館で、7月11日から、特別展「深海2017」が始まりました。今回は、発光生物の見どころもいっぱい。去年放映された NHKスペシャル「ディープオーシャン」とリンクした企画ですので、私もちょっと関わってます。会期は10月1日まで。発光生物ファンは、この夏、ぜひ観覧に行かれてください。実は私もまだ行ってないんですが。。
図録には、私の研究が紹介されてました。
「ハイ発光中」というハイチュウ。企画コラボグッズです。もちろん「お菓子は発光しません」。そういえば、ハイチュウの形状はヒカリボヤにちょっと似てる?
「深海2017」のサイトhttp://shinkai2017.jp
2017.7.7. アングルポイズがやってきました!
あこがれのアングルポイズが私のデスクにやってきました!タイプ90の初期型(関節部分にプラスチックパーツが使われていない)なので、私自身とほぼ同年代のヴィンテージものです。実際に手にして初めてわかる、繊細さと絶妙なデザイン。イギリスの美しい照明器具と一緒だと、仕事がはかどりそうです。
アームのバランスと3本のスプリングのはたらきでシェードの位置を自在に動かせるしくみは、当時は画期的な発明でした。私としては、「光を照らす装置の機能美」という部分に発光生物と共通する魅力を感じます。
「Living Light = 生活空間の明かり & 発光生物」ですから。
Anglepoise type 90 (初期型)
購入したBEPのブログhttps://britishequipmenttrading.blogspot.jp/2017/07/prof-s-angelpoise-4-photogenic-organism.html
2017.7.3. JST本部に行ってきました!
今日は、市ヶ谷にある科学技術振興機構(JST)の本部に行ってきました。地味で泥くさい研究をしてきた私が、日本の科学技術の総本山であるここを訪れる日が来るとは思ってもみなかったです。
2017.6.29. 安城市立梨の里小学校小学校で講演してきました!
梨の里小学校の全児童約500人に「かがくしゃになってみよう」というタイトルで講演をしてきました。夏休みの自由研究を前に、身近な対象にも発見があること、正しく研究すれば小学生にだって本当の科学ができることを伝えました。対照実験・反復実験の必要性、科学者じゃない親に手伝ってもらうより自分の好奇心に従ったほうがいい研究になること、など科学することのポイントを話ししましたが、ちょっと小学1年生には難しかったかな。質問もたくさん出て楽しい時間でした。なにより、校長先生が科学的素養の豊富な方で、校長室でつい長々と研究談義をしてしまいました。
安城市立梨の里小学校http://swa.anjo.ed.jp/weblog/index.php?id=anjo06
2017.6.21. 名古屋大学博物館企画展「ムシの世界」で講演します(7月29日)!
名古屋大学博物館の企画展「ムシの世界」が7月25日から10月21日まで開催されます。その中の特別講演会シリーズの第1弾として、7月29日に「ホタルのおしりはなぜ光る・発光の謎」というタイトルで講演させていただきます。
企画展のホームページhttp://www.num.nagoya-u.ac.jp/event/special/2017/170725.html
この特別講演会シリーズには、オサムシの分子系統解析で歴史的偉業を成し遂げられた大澤省三先生(9月16日)や、でカイコ休眠ホルモン研究で昆虫学史上に不動の名を残す前中部大学学長の山下興亜先生(9月30日)など、豪華な顔ぶれが勢ぞろいですので、そちらにも是非ご参加下さい。申し込み不要、入場無料です。
2017.6.19. インターネットメディア「10MTVオピニオン」に書著が紹介されました!
ハイクオリティーな教養メディア「10MTVオピニオン」に、著書『恐竜はホタルを見たか』が紹介されました!とくに、私が本の中にサラっと書いた「どう役に立つのかすぐにはわからないのが科学」という部分がクローズアップされています。
10MTVオピニオンhttp://10mtv.jp
『恐竜はホタルを見たか』著者が語る「基礎研究」の重要性http://10mtv.jp/pc/column/article.php?column_article_id=1142
面白いからそれを研究するーーこれは、私が貫いている重要な研究スタンス。それは、そのまま恩師の故・中村英士先生が言われたことでもあります。私が学部生だったころ、中村先生の講義のあとで「なぜ発光生物を研究しているんですか」と聞いてみたとき、中村先生はひとことこう言われました。
「だって面白いでしょ」
中村先生は、アメリカ留学時代に下村脩先生と一緒に発光生物の研究をされています。いつも下村先生を慕っておられ、私は中村先生からよく下村先生の話を聞きました。もちろん、下村先生がノーベル賞を受賞するよりずっと前の話です。
下村先生のノーベル賞受賞インタビューをテレビで見ていたとき、下村先生がぽつりと「役に立つとは思っていなかった」と言われたのが私の耳に刺さりました。この一言は特にメディアで注目されることはありませんでしたが、私にとっては忘れられない大事なことばです。
役に立つかどうかわからなくても面白いから研究する、科学はそれでよい(それが重要とは私はあえて言いません)。発光生物学は、そんな誰もが面白いと思える魅力がつまった世界です。中村先生と下村先生の言葉を聞いたとき、私は生涯を賭けて発光生物学を研究していこうと心に決めたのです。
2017.6.12. オオシママドボタルのルシフェラーゼ論文が受理されました!
名古屋大Gの小西花織さん(M2)と別所学君(PD)がやってくれたオオシママドボタルのルシフェラーゼに関する論文が生物発光化学発光では有力な専門誌Photochemical & Photobiological Sciencesに受理されました!
沖縄産ホタルという難しい材料を使ってここまで精緻な実験ができたのは、二人の努力の賜物です。オオシママドボタルにもルシフェラーゼ遺伝子が2つあって、それぞれが成長ステージと部位で別々に使われていた、ということを明らかにした論文です。
「他のホタルで既にわかってたことでしょ」と思ったら、それは間違い。わざわざ沖縄のホタルを使って室内飼育までしてやったことには、意味があります。それは「進化」を明らかにするためです。
小粒ですが、歴史に残る重要な論文だと思っています。
Bessho-Uehara, M., Konishi, K. and Oba, Y* (2017) Biochemical characteristics and gene expression profiles of two paralogous luciferases from the Japanese firefly Pyrocoelia atripennis (Coleoptera, Lampyridae, Lampyrinae): Insight into the evolution of firefly luciferase genes. Photochem. Photobiol. Sci. 16, 1301-1310.
http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/pp/c7pp00110j#!divAbstract
2017.5.31. 岡崎市ホタル学校「ホタルの文化財展覧会」がいよいよはじまります!
いよいよ今年もホタルの季節になってきました。ヒメボタルやゲンジボタルの飛翔情報があちこちから聞こえてきます。
先にも案内しました通り、ホタルに関する私の浮世絵と磁器コレクションによる展覧会が、岡崎市鳥川でいよいよ明日から開催されます。期間は6月1日から7月2日です。鳥川のホタル鑑賞は、この季節たいへん混み合いますので、時間に余裕を持ってお出かけください。
写真は、今回初公開の九谷焼。海外輸出用に作られた大正時代のものです。蛍狩りに興じる少年が描かれていますが、その賑やかな図柄は何となくエキゾティックです。
岡崎市公式観光サイトの案内https://okazaki-kanko.jp/mizutomidori/hotarunosato/program/2553
2017.5.28. 菌類懇話会で講演してきました!
菌類懇話会の第207回(!)例会で講演してきました。場所は、かわさき宙と緑の科学館(川崎市生田緑地内)です。それにしても、キノコに詳しい方たちの知識量には圧倒されます。講演後には鋭い質問が飛び交い、たじたじに。講演後の懇親会では、日本の発光キノコに関する最新情報や、フィクションに登場する発光生物の情報などもたくさん聞くことができて、こちらも大いにためになりました。会場にはベイFMのラジオ「ザ・フリントストーン」を聞いて来てくださった方もいて、嬉しかったです。
講演後に時間があったので、科学館の中をふらふら見学していたら、なんと!!ホタル分類学の大家である川島逸郎さんがフロアで一般来館者に解説をしていました!すごい偶然。思わず駆け寄り、長年のご無沙汰と非礼をお詫びしてから、つい嬉しくなって一緒に写真を撮っていただきました。
川島さんのお仕事を紹介した記事http://www.townnews.co.jp/0206/i/2016/06/24/337431.html
2017.5.24. 中部大学蝶類研究資料館の副館長になりました!
日本の蝶コレクションとしては世界最大級を誇る藤岡知夫コレクション。その数は推定22万頭、ドイツ箱にして1700箱に達します。この全コレクションの寄贈を受けて、その保存と展示と研究のために昨年7月に会館したのが「中部大学蝶類研究資料館」です。縁あって、この資料館の副館長に就任いたしました。
私が代表幹事をしている「昆虫DNA研究会」の前身は「蝶類DNA研究会」であることもあり、いろいろな人とのつながりがあることや、私自身が昆虫の進化や多様性の研究をしているということから、選出していただきました。細かなことまで頑張ろうと思いますのでよろしくお願いします。
私はあらゆる生物分類群に広く興味を持っていますが、実は「蝶」と「鳥」と「花」(要するにキレイ系)だけはあんまり詳しくありません!というより、世の中にこれらにすごく詳しい人が多すぎるんです。これを機会にこれからは、甲虫やミミズやムカデやヤスデだけではなく、キレイな生き物にも分け隔てなく興味を持っていこうと思います。
中部大学蝶類研究資料館https://www3.chubu.ac.jp/organization/museum_butterfly/
2017.5.23. 児童文学作家の後藤みわこさんがラボを訪れました!
春日井市にお住まいの児童文学作家・後藤みわこさんが、くもん出版の谷さんと一緒にラボに来てくださいました。
文学と科学。一見すると方向性は真逆のようですが、どちらも、子どもたちに考える力を育み、将来に対する手掛かりを与える力があります。そんなことを考えさせられ教えられた、楽しい会話の時間でした。
私も、なぜか人を引きつけずにはいられない発光生物の魅力を通じて、できるかぎり若い世代に科学の面白さを伝えることができたらと思います。
後藤みわこさん HP:http://www.geocities.jp/miwako510jp/
くもん出版「おばっちのブイサイン」https://www.amazon.co.jp/dp/B00O1LV5LW
2017.5.18. 中部大学ジュニアセミナー「光る生き物の科学」を開催します!
中部大学ジュニアセミナー「光る生き物の科学〜見てみよう、探してみよう〜」を開催します。
開催日:7月27日(木)10:00-11:30
場所:豊明市中央公民館
対象:豊明市内在住の小学4・5・6年生(定員20名)
*夏休みの自由研究テーマになりそうな「身近な光る生き物」の探し方や光らせ方を伝授します。光る落ち葉、光るミミズ、ウミホタルなど、こんな近くにこんな不思議な生物がいるんだ!というお友達もびっくりの研究テーマを見つけてみませんか?
2017.5.15. 岡崎市「ホタル学校」で『ホタルの文化財展覧会』が開催されます!
ゲンジボタルで有名な岡崎市鳥川町にある「ホタル学校」で、『ホタルの文化財展覧会』が開催されます。私のコレクションの中から選りすぐりの浮世絵7点と磁器類4点(もちろん本物!)を見ていただけます。 昔の日本人がホタルをどのように文化の中に捉えていたのかを窺い知ることのできる資料です。
開催期間は6月1日〜7月2日です。
中でも今回の目玉は、小林清親の「天王寺下衣川」という浮世絵(1880年、下の写真)。前から欲しくてようやく手に入れた自慢の品です。比較的有名な作品ですが、実物を見ると意外に小さくて驚くと思います。また、歌川国芳の「今様七戸町 関てら」も、さすが国芳とうなるような見事な構図のホタル絵です。
2017.5.14. DNAバーコーディングについて講演してきました!
千葉県立中央博物館主催の自然誌シンポジウム「自然史研究におけるDNA研究の役割」で、講演してきました(5月14日)。演者は次の5人。なおこのシンポジウムは、昆虫DNA研究会との共同事業で行われました。
神保宇嗣(国立科学博物館)「DNAバーコードとは何か」
大場裕一(中部大学応用生物)「使えるDNAバーコーディング」
倉西良一(千葉県立中央博)「DNAバーコーディングの落とし穴:証拠標本の重要性」
東城幸治(新種大学理学系)「複雑な日本列島形成史を反映する昆虫類の系統地理研究」
宮 正樹(千葉県立中央博)「魚類環境DNAメタバーコーディング」
生物学の研究をする場合において、自分が研究に使っている生物をはっきりさせることは最も重要なスタートポイントです。「1種だと思って研究していたら、実は2種の生物をごちゃまぜにして研究してました」というのではダメなわけです。そういうことにならないためにもDNAバーコーディングは使えます、そして、実際にDNAバーコーディングをやってみると意外なほど「1種のつもりだったものが2種でした」というケースがたくさん見つかりますよ、という話をしてきました。
みなさん全員たいへん面白い講演をされていて、とても盛り上がったよいシンポジウムでした。
2017.5.7. ラジオ番組「ザ・フリントストーン」出演時の内容がウェブで見ることができます!
bayFMのラジオ番組「ザ・フリントストーン」に出演したとき(2017年5月6日)の内容がウェブサイトで詳しく紹介されています!ラジオ放送を聞き逃した方はぜひこちらをご覧ください。後半では、DJ長澤さんの巧みな問いかけのおかげで、思いがけず人類と発光生物との深い関わりについても語ることができました。
番組ゲスト出演時の内容http://www.bayfm.co.jp/flint/20170506.html
紹介された拙著『恐竜はホタルを見たか』https://www.amazon.co.jp/dp/4000296493/
2017.5.6. 『Fireflies, Glow-worms, and Lightning Bugs』に研究が紹介されています!
友人のリン・ファウスト(Lynn F. Faust)が北米とカナダのホタル図鑑『Fireflies, Glow-worms, and Lightning Bugs 』を出しました(The University of Georgia Press, 2017)。オールカラー356ページで、ものすごい写真量と情報量に圧倒されるすごい本です。
この本の中には、私のノハラボタル(Pyropyga sp.)の研究も紹介されています。リンにもらったテネシー産のPyropyga minutaと日本産ノハラボタルを遺伝子比較してみたところ、とても近い関係にあったのです。ピロピガ属は分類が複雑なので、この結果だけからは言い切ることはできませんが、この結果は、関東のみに見られる「日本唯一の外来ホタル」であるノハラボタルが北アメリカからの移入したP. minutaである可能性を示唆しています。
紹介した本はアマゾンでも購入できますhttps://www.amazon.co.jp/dp/0820348724/
深津武馬さん(産総研)と一緒にやっている「ノハラボタル研究会」HPhttps://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/PyropygaHome.html
国際ホタル学会2014(フロリダ)でのノハラボタルに関する学会ポスターhttp://www.conference.ifas.ufl.edu/firefly/Poster%20Presentations/14%20-%20Oba.pdf(PDF形式:約0KB)
2017.4.30. 発光キノコの発光メカニズムを解明!Science Advances誌に掲載されました。
発光キノコのルシフェリンが3-ヒドロキシヒスピジンであることはロシア科学アカデミーと私たちの共同研究により明らかになっていましたが(Purtov et al., 2015. Angewandte Chemie)、それがどのような反応メカニズムで発光しているのかが遂に明らかとなり、「サイエンス」の姉妹誌「サイエンス・アドバンシス」に論文が掲載されました。今回は、サンパウロ大学、ロシア科学アカデミー、私たちの3ユニット共同研究です。
反応産物であるオキシルシフェリンの構造が明らかにされ、それにより反応中間体がジオキセタノン構造を経ない可能性や、基質酸化物がライトエミッターである可能性が示唆されたことで、長年にわたり謎だった発光キノコの発光メカニズムの全容がついに明らかになりました。
Kaskova ZM, Dörr, FA, Petushkov VN, Purtov KV, Tsarkova AS, Rodionova NS, Mineev KS, Guglya EB, Kotlobay A, Baleeva NS, Baranov MS, Arseniev AS, Gitelson JI, Lukyanov S, Suzuki Y, Kanie S, Pinto E, Mascio PD, Waldenmaier HE, Pereira TA, Carvalho RP, Oliveira AG, Oba Y, Bastos EL, Stevani CV, Yampolsky IV. (2017) Mechanism and color modulation of fungal bioluminescence. Sci. Adv. 3: e1602847.
http://advances.sciencemag.org/content/3/4/e1602847
2017.4.29. 菌類懇話会で講演します!(5月28日/川崎市)
2017年5月28日(日)14:00-16:00に菌類懇話会で講演します。演題は「発光キノコとその発光メカニズム研究の最前線」です。菌類懇話会の会員でなくても参加できます。参加費は無料です。
場所:かわさき宙(そら)と緑の科学館・学習室1/2
かわさき宙と緑の科学館のHPhttp://www.nature-kawasaki.jp
2017.4.28. 次回のISBCシンポジウム(仏)のインターナショナル・コミッティーに選出されました!
研究室主催の大場裕一が、 2018年5月28-31日にナント市(フランス)で開催される生物発光/化学発光シンポジウム(20th International Symposium on Bioluminescence and Chemiluminescence)の国際学術委員(International Scientific Committee)に選出されました!プログラム作りやセッション企画に携わることになります。
ホタル(もしくは発光性昆虫)に関するセッションを、フロリダ大のマーク(Marc A. Branham)と企画する予定です。
2017.4.27. ベイFM「ザ・フリントストーン」にゲスト出演します!(2017年5月6日放送)
毎週土曜日の18時から19時にbayFMで放送されているラジオ番組「ザ・フリントストーン」に、5月6日の放送でゲスト出演します!もちろんテーマは、発光生物の不思議。関東地方の方はぜひお聞きください!放送後には、番組HPでもトーク内容が紹介されます。
番組HPhttp://www.bayfm.co.jp/flint/
*写真はDJの長澤ゆきさんと。
2017.4.27. 国際ホタル学会(台湾)から帰って来ました!
3年に一度行われる「国際ホタル学会」(International Firefly Syposium)に参加するために台湾(台北)に行ってきました。なにより、台湾の人々のホタルに対する愛情と保全への情熱には圧倒されました。こうした台湾でのホタルへの熱狂はここ10年くらいのことらしいです。
学会参加者は、アメリカとアジア諸国が多かったですが、日本から参加した人はわずかでした(日本には長いホタル文化があるのに、ちょっと残念)。欧米はアカデミックな基礎研究、アジアは分類と保全、という感じで発表のテーマが2分していたのは特徴的だった(もちろん我々はこのルールに反して前者なわけですが)。もちろん、両方あってこそのホタル学会だと思いますが、もう少し欧米もホタル保護に興味を持ったり、アジアも基礎研究に興味を持ってくれるともっと面白くなると思いました。
ホタルの研究なんてノンキそうに思うかもしれませんが、みんなすごい勢いで研究してどんどん成果を出しています。我々も、ぼやぼやしてはいられません!
*写真は、バンケットの様子。左から、ヨーロッパのホタル研究で知られる友人のラファエル・デコック(ベルギー)と視覚研究のベノ・マイヤーロホさん(八丈島)、私、香港でクモとホタルの関係を調べているティモシー、プリンストン大でルシブファジンのターゲット(K,Naポンプ)の進化を研究しているリン・ヤン、MITでホタルの化学分析をしているティム・ファーロン、そしてホタル生態学の大御所ブシュマン。学会は、世界の人と共通の話題で話ができる楽しい時間。私のような他人と会話するのが苦手な人でも、同じ科学の話題があれば自然と話が弾みます。
2017.4.16. 長谷川研と合同お花見!
長谷川浩一研究室が主催のお花見に、発光生物学研究室のメンバーも混ぜてもらいました。琵琶湖畔でバーベキューを楽しんだあとは、それぞれ思いのままに桜見物、サイクリング、魚釣りに、水遊びとのんびり半日を過ごしました。
なぜか、うちのメンバーは、みんな生きもの探し。淡水に発光生物はいないと分かってはいても、つい何かを探してしまうようです。おかげで、ミズギワコメツキやヒメサビキコリが採れました。
私も家族を連れて参加しましたが、子供の見張りは周囲に任せて、私はついつい浜辺で昼寝。昼から湖畔でお昼寝とは、めったにできない貴重な至福のひと時でした。
長谷川研究室の皆さん、うちの研究室の皆さん、お世話になりました!
写真は、発光生物学研究室のメンバーと長谷川先生(左端)。なんと、全体では40人以上の参加がありました。