2021.3.20. 本日2時から!日本ホタルの会のオンライン講演会
本日午後2時から、歴史ある「日本ホタルの会」の講演会で講演させていただきます。皆さん、ZOOMでぜひご参加ください!
日本ホタルの会講演案内https://www.nihonhotaru.com/single-post/日本ホタルの会オンライン講演会のご案内
2021.3.17. CBCラジオに出演!
CBCラジオ『北野誠のズバリ』の中のコーナー「地元に聞いちゃうぞ」に出演します。3月22日(月)14:42頃から8分間ほど、1億年前のホタルについて解説します。
CBC北野誠のズバリhttps://hicbc.com/radio/makozuba/
放送後にラジコでも聞けるみたいですhttps://radiko.jp/#!/top
中高生の頃は、勉強してるふりしてよくAMラジオ聞いてました。。ビバヤング!
2021.3.16. 新刊!
なんと、私の新刊が予約販売中になっているじゃないですか!知らなかった。。
AMAZONでも予約開始中!https://www.amazon.co.jpdp/4535805113
誰得?ってくらいディープな内容!(予定)
2021.3.15. ヒカリボヤは細胞内共生発光!
ヒカリボヤが細胞内に共生する発光バクテリアによって発光しているという論文が出た(Berger, 2021)。私の中では、中国の発光コメツキムシSinopyrophorusの発見(Bi et al., 2019)に続く発光生物研究のビッグヒットである。
実は、ヒカリボヤは発光バクテリアで発光している可能性が以前から示唆されていたが、明確な証拠がなかった。ところが、2020年にセレンテラジンを基質としたウミシイタケ様ルシフェラーゼで発光しているかもしれないという論文が出たのである(Tessler et al., 2020)。
あと出しでこういうのも何であるが(周りには言ってた)、この論文はあてにならないと思っていた。まず、ヒカリボヤからセレンテラジンを検出していない。タンパク質の精製もしていないし、見つけてきた遺伝子のリコンビナントにセレンテラジンを加えたら光ったという証拠しかないのである。
だから、セレンテラジンは光りやすいんだから気をつけろって、下村先生が口を酸っぱくして言ってたじゃないか!
そして、2021年の今回の結果!証明としてはほとんど完璧である。共生しているのはフォトバクテリウム属の一種と考えられるが、海水中に漂っているのとは違う未知種のようだ。しかも、細胞内共生が示唆されるというから驚いた。
これまで、発光バクテリアとの共生発光が知られているのは硬骨魚類とイカの仲間だけ。発光バクテリアはあれだけ海水中にウヨウヨしているのに、それと共生しているのは魚とイカしか見つかってなかったのである。しかもそれらはすべて細胞外共生。ちなみにヒカリボヤは脊索動物である。今回の発見が如何にすごいかは、そこらへんを理解してないとわからないかもしれないが、とにかくすごい発見だ。
長年の疑問に明確に答え、あてにならない報告を跳ね飛ばし、さらに誰も予想もしなかった新発見をする。これに勝る科学の醍醐味はないのである。
論文のリンクhttps://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2021.606818/full
→主著者の学位論文らしい。素直に感動した。
2021.3.5. 中日新聞に掲載されました!
東海地方で圧倒的なシェアを誇る中日新聞に、祖先ホタルの記事が掲載されました!しかも、丁寧な取材で分かりやすい解説。蘆原記者さん、ありがとうございました。
ちなみに、このゲンジボタルの写真は以前わたしが美合(岡崎市)で撮影したものです。ホタルの光が見えるように発光器のところだけを山の陰に入れて、ホタルの姿全体は空を背景にします。理屈はこれだけですが、それを野外でやろうとすると、ホタルがじっとしていなくて実に難しい。そんな、会心のショットを新聞に使ってもらえて、これまた嬉しいです。
中日新聞ウェブ版https://www.chunichi.co.jp/article/212533
さすが中日新聞!保育園の先生や図書館の方など、いろいろな方から「見ました」のお声をいただきました。
2021.3.2. LLLをヴァージョンアップしました!
発光生物の中でも新種記載や属名の変更など入れ替わりの激しい「甲虫」と「魚類」について整理したので、久しぶりに発光生物リスト(LLL)をヴァージョンアップしました。主な変更点は、バランタイン博士が最近発表したホタル亜科のチェックリスト(Ballantyne et al., 2019. Zootaxa)と、東海大の中山直英先生がソコダラ類の新種記載と整理をした最近の論文(Nakayama, 2020. Megataxa)に基づいています。ホタル科は全種光ることになっているので整理は比較的簡単ですが(それでもバランタイン博士に一部確認しました)、魚類はいちいち発光するかどうか(もしくは発光器をもつかどうか)をチェックしないといけないのでヴァージョンアップ作業は大変です。今回も魚類についてはジョゼ君が丁寧に整理してくれました。
LLLhttps://www3.chubu.ac.jp/faculty/oba_yuichi/living_light_list/
2021.3.1. Etmopterus shark use coelenterzine for thier bioluminescence.
カラスザメ属(Etmopterus)の発光に使われている発光基質がセレンテラジンであるという結果をbioRxiv(バイオアーカイブ)に上げました。セレンテラジンが発光基質であることを証明するのはいろいろ難しい問題があって、発光サメではこれまで誰も証明できていませんでしたが、ようやく満足できる形で実証できました。修士1年の水野君の仕事です。
bioRxivhttps://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.03.01.433353v1
Lantern shark Etmopterususe coelenterazine as substrate for their luciferin-luciferase bioluminescence system: Mizuno et al. bioRxiv, 2021 Mar 1.
2021.2.9. 「ほとんど0円大学」に紹介されました!
人と大学をつなぐウェブサイト「ほとんど0円大学」に、祖先ルシフェラーゼの研究が紹介されました!取材はZOOMで受けました。ZOOM取材が普通になると、地方にいるデメリットが減りますね。
今回は、研究のエピソードや私の研究その他などについても紹介していただき感謝です。ほとんど余談のつもりで紹介した「光る人間の登場する漫画」を見せている私が掲載されていて、不覚にもやけに嬉しそうです。
こうした、研究をわかりやすく面白く紹介するサイトには本当に頭が下がります。私もこういうことをしたかった、と思うときがある。せめて、こうしたサイトに研究で話題提供ができることを嬉しく思います。
「ほとんど0円大学」http://hotozero.com/knowledge/chubuuniv_hotarunohikari/
こちらもおすすめ!「Academist Journal」https://academist-cf.com/journal/?p=15226
2021.1.21. 一億年前のフェンゴデスが発光器を持っていた!(?)
一億年前の琥珀からフェンゴデス(Phengodidae科とRhagophthalmidae科の分岐する前の祖先らしい)の化石が見つかって、なんと発光器を持っていた!という論文が出ていました。
Phengodidae科とRhagophthalmidae科の共通祖先が発光していたことは間違いないと思います。でもそれは幼虫とメス成虫ならばの話。今回の琥珀化石はオス成虫です。オス成虫のこんな場所に発光器があるかなあ。
現生のPhengodidae科とRhagophthalmidae科は、基本的にオスは発光器を持ちません。ただし、Pseudophengodesという種類はオスにも明瞭な発光器があります(そのことはこの論文にも書いてあります)。でも、Pseudophengodesの発光器はホタル科と同じように腹側のずっと後ろの方です(そのことは論文には書いてない)。しかし、今回見つかった化石種Cretophengodes azariは、腹部の最も前の方の節に発光器があります。こんなところに発光器を持つ現生の甲虫はいません。
ただし、コメツキムシ科のヒカリコメツキや最近見つかったSinopyrophoridae科のコメツキムシ科に近い種は、後胸と腹節の間に発光器があります。でもそれは、体節の間に埋もれているので、Cretophengodesとは随分違います。
つまり、そもそもほんとにその化石の白っぽい部分は発光器なの?(Is that really light organ?)ということです。確かに、そこだけ透けたようになっているので発光器っぽく見えますが、それをいうなら前胸だって透けてます。現生の発光種が持っていない場所に発光器を持っていた生物がかつて居た可能性は、もちろんあります。
1億年前の琥珀からフェンゴデスが見つかったという発見は手放しに素晴らしいです。でも「sheds light on the evolution of bioluminescence」というタイトルに違和感を覚えたので、余計なことが言いたくなりました。つまり、発光器だというならばもっと証拠が欲しいわけです。「琥珀化石は1個しかないんだから無理なこと言うな」と言うでしょうけど、それが科学というものだと思うのです。
論文のサイトhttps://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2020.2730
それを紹介したニュースhttp://www.sci-news.com/paleontology/cretophengodes-azari-09267.html
2020.12.30. ミルトン・コーミエ博士自伝
ミルトン・コーミエ博士(Milton Joseph Cormier, 1926-)の自伝『My Journey』(OPA Publishing, 2007)を買って読んだ。ちなみに、定価は12ドルだが古本で10倍以上した。91ページでオール白黒印刷の薄い冊子だったが、やはり読んでおく必要があると思ったので、高かったが仕方ない。
コーミエ博士は下村脩博士よりも2歳年上だから、現在94歳である。ジョージア大学でウミシイタケ(Renilla reniformis)の発光メカニズムの研究に尽力された。ジョージア産の巨大発光ミミズ(Diplocardia longa)の発光メカニズムの研究にも着手したが、このテーマは弟子のワンプラー博士(John E Wampler)に譲った。
コーミエ博士は、下村博士らがオワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(GFP)を見つけたすぐ後にウミシイタケからGFPを見つけている。オワンクラゲのGFPの遺伝子クローニングに最初に成功したのはコーミエ博士の弟子のダグラス・プラッシャー博士(Douglas C Prasher)であるが、それを発現させると蛍光性が現れることを最初に発見したのは、プラッシャーがコーミエ研を去ってからプラッシャーから遺伝子情報をもらったチャルフィー博士(Martin Chalfie)であった。
つまり、コーミエ博士は2重の意味でGFPの発見者に近かった。
下村博士がオワンクラゲからGFPを見つけなくても、コーミエ博士がウミシイタケからGFPを見つけたに違いない。あるいは、オワンクラゲのヒントがなかったら、ウミシイタケのGFPも見逃されていたのであろうか。こうした激しい先陣争いの厳しさも含めて、コーミエ博士は科学の研究を、大発見の興奮が次の大発見に向かわせるインテレクチュアルな”drug”だという。
研究が楽しくて一途に突っ走ってきた、というようなよくあるタイプの科学者自伝ではない。ジョージア大学に新たに生化学の学部を作ることに尽力し、多くの学生を育てたコーミエ博士は、グラントが途切れて67歳で研究室を閉じた。コーミエ博士の研究者人生は、グラント獲得や学内業務に追われる現在のわれわれ日本の研究者の置かれている状況に近い。退職した時、もはや「コーミエ先生」と呼ばれなくなることが残念だったが、そんな事にはすぐに慣れ、現在はシニアテニスに夢中だという。
私も、コーミエ博士のように一大学教授として研究と教育と学内業務に走り続けなくてはいけないのだろうか。私は研究を、大発見にドライブされるドラッグだとは思わない。これからも退職後も、ちまちまと何か生物のことを調べていればそれで幸せなのだが、それは許されないのだろうか。
AMAZONでも現在在庫切れですhttps://www.amazon.co.jp/dp/091104101
息子と一緒に、なぜかアメリカ売上税(fair tax)に関するクイックガイドの本も書いている。同姓同名の別人かと思ったが、間違いなくウミシイタケのコーミエ博士の本であるhttps://www.amazon.co.jp/dp/B007I9AKN8/
2020.12.24. ハンス・モーリッシュの日本滞在記
植物学者ハンス・モーリッシュ(Hans Molisch, 1856-1937)は、発光細菌を調べたりそれでランプを作ったり(ただし、この試みはモーリッシュが最初ではない)、『植物の発光』(Leuchtende Pflanzen, 1904)を書いて発光バクテリアの共生で発光生物を全て説明しようとする風潮を批判したりしたが(これは正しかった)、発光生物学の歴史の中でそれほど重要な位置づけにある人物ではない。それで、あまり深い関心はなかったのだが、彼の書いた日本滞在記が翻訳されていることを知り、読んでみたところ、非常な感銘を受けた。
オーストリアの植物学者モーリッシュは、1922年から1925年の2年半、東北帝国大学の生物学教室の主任教授として招聘され仙台に滞在した。この間の日本滞在記をドイツ語で出版したのが『日出づる国から』(Im Lande der Aufgehenden Sonne, 1927)である。邦訳題は『植物学者モーリッシュの大正ニッポン観察記』(草思社, 2003)。これが、当時の日本の文化、学問、自然などが科学者らしい正確さと日本を愛したモーリッシュ自身の暖かな目線で見事に描き出されていて、実に読み応えがあって素晴らしかった。
もうひとつこの本で感銘を受けたのは、訳文の見事さである。なんというか、目で文字を追っているだけで内容がすーっと頭に入ってくる感覚で、黙読では頻繁に行っている「行ったり来たり」をほとんどする必要がなかった。読点の使い方が良いのか、てにをはがうまいのかわからないが、とにかく読みやすいのである。さりげないが相当な訳出テクニックと見た。コツがあるなら、ぜひ見習いたいものである。したがって、ハンス・モーリッシュという人物だけでなく、瀬野文教さんという名訳者にも興味を持った2重に面白い読書体験だった。
アマゾンで購入できます。もっと評価されていい本だ。出版は2003年と少し前の本になるが、そもそも原書は百年前の本だから気にすることはないhttps://www.amazon.co.jp/dp/4794212380/
2020.12.17. c&enに紹介されました!
アメリカ化学会が発行する歴史ある週刊誌「c&en (Chemical & Engineering News)」に我々の論文内容が紹介されました!
メールで取材の連絡があり、Zoomでインタビューを受けたものです。見出しの言葉「最初のホタルは緑色に光っていた」、シンプルでいいですね。
写真は私が以前に撮影したヘイケボタルです。こうやって配置されると、同じ写真でもなんか外国っぽく見えますね。
c&enの記事https://cen.acs.org/biological-chemistry/biochemistry/first-fireflies-glowed-green/98/i48
2020.12.5. 「太古の光を呼び戻す」
今回の論文のタイトルは「Resurrecting the ancient glow of the fireflies」。訳すると「太古のホタルの光を呼び戻す」である。最初は「Resurrecting the ancient glow」とシンプルにしていたが、某雑誌の査読の際(結局リジェクトされた)に査読者のひとりから「意味がわからないからfirefliesを付けろ」と言われて、仕方なく変えたのだ。変えない方がカッコよかったかも、である。
アクセプトされることで精一杯だったので、あまり凝ったレトリックは盛り込めかったが、本文の最後を「lost world」で結んだのは、もちろんドイルの「The Lost World」を意識してのこと(映画ジュラシックパーク第2弾の「ロストワールド」も意識している)。また、ドーキンスが『祖先の物語』(2006)で登場させた造語「コンセスター」(最近共通祖先生物)もこっそり仕込んでいる。
タイトルの最初の単語「Resurrecting」は、聖書のなどの写本復元を意識している。『源氏物語』や『聖書』は、原本は残っておらず数多くの写本だけが残っている。しかし、写本(および写本の写本)は手で書き写すので、そのときに文字の写しまちがいが生じる。今回の研究は、この多くの写本にもとづく原本の復元推定に似ている。失われた原本=祖先の物語を復元することで、「ロストワールド」が今によみがえるのである。
ーーな〜んてことも盛り込みたかったのだが、実際は文句がつかないように慎重に言葉を選ぶのに精一杯で、そんな余裕はなかった。そのうち、日本語で解説かなにか書くときにこのネタは盛り込むことにしよう。ちなみに、キリストの復活は「The resurrection of Jesus」である。
メ〜テレの情報番組「UP!」でも紹介されました。
この放送の動画見れますhttps://www.nagoyatv.com/news/?id=003939
Science Advancesの記事https://advances.sciencemag.org/content/6/49/eabc5705
2020.12.3. 1億年前のホタルの光を再現しました!
ホタルの最初の祖先が地球上に現れたのは今から約1億年前の白亜紀のころです(ホタルゲノムのニュースを参照ください)。その頃の光を実験室内で再現することに成功し、このたび論文が発表されました!
原初のホタルの光は緑色でした。これが結論です。サイエンス・アドバンシスという雑誌に掲載されました。
サイエンス・アドバンシスは今年2報目。たまたまですが、ちょっと今年に成果が集中しすぎたなあ。来年から「あいつのアクティビティは落ちてきた」とか言われそうです。
長浜バイオ大の白井剛先生と鹿児島大の加藤太一郎先生らとの共著です。共著と言っても、何かアドバイスをもらったから著者に入れたとかそういうのではまったくなく、本当にガチの共同研究で、多くの重要な実験を行っていただきました。
この論文ができるまでの道のりは長かったです。白井先生のところに最初に研究の構想を相談しに行ったのが2008年ですから、それより前からひとりでウンウン考えていた時から勘定すると15年くらい取り組んできたことになります。さらに成果をまとめてプレプリントとしてBioRxivに公表したのが2019年の9月なので、論文として受理されるまでにも1年以上かかっています。
おかげで満足のいく成果を出すことができました。よく考えれば誰でも思いつくアイデアなので、自分たちのグループがこれを最初に達成できたことは大いなる喜びです。私がずっとやってきたホタルの進化研究の集大成と言えます。ホッとしました。
実は、拙著『恐竜はホタルを見たか』(岩波科学ライブラリー)に伏線があって、「私の推理によると白亜紀の原始ホタルは緑色に光っていたはずである」(P104)と書いています。この時はもうだいたい答えはわかってたんです。
何かの役に立つというよりは、遠い過去の光景をセピア色ではなくカラーで再現できたというところに、この研究の最大の意味があると思ってます。
↑こんな写真も用意してたんですが。。自撮りです。左手をうーんと伸ばしてカメラのシャッターを切ってます。
Science Advancesの記事https://advances.sciencemag.org/content/6/49/eabc5705
大場裕一『恐竜はホタルを見たか』https://www.amazon.co.jp/dp/4000296493/
今回の中部大HPニュース(プレスリリース資料)https://www3.chubu.ac.jp/research/news/26602/
以前のホタルゲノムの論文(2018)のプレスリリースhttps://www3.chubu.ac.jp/research/news/24273/
2020.11.21. 「美の壺」見ていただけましたか?
BSプレミアム「美の壺」、見ていただけましたか?実は初めて見たんですが、NHKらしい品のいい素敵な番組で、気に入りました。毎週見ようかな(思う壺ってやつ?)。
ヤコウタケとエナシラッシタケはとても美しく撮れてました。頑張った甲斐がありました(僕はただ暗闇で突っ立ってただけですが)。僕も出演してましたが、なんか僕は滑舌がわるいなあ。細矢さんみたいにハッキリ喋るようにしよう。発光キノコは見慣れたからもはや何とも思わないけど、初めて見る人はびっくりするんだろうなあ。
再放送があるみたいです。見逃した方は是非!発光キノコの他にも、美味しいキノコや、熊楠のことなど、キノコづくしの盛りだくさん内容ですよ。
再放送の案内https://www4.nhk.or.jp/P5180/2/
2020.11.6. NHKBSプレミアム「美の壺」に出演予定です!
多彩な美を伝えるNHKBSプレミアムの人気番組「美の壺」に出演します。放送は11月20日午後7時半です。
今回はキノコの特集で、その中の一部で発光キノコが紹介されます。紹介される時間はたぶん短いですが、私が何か色々しゃべったうちのどこかが使われてると思います。
撮影の邪魔にならないようにライトを消して真っ暗な森の中で何時間も突っ立っていたロケが思い出されます。あれはキツかったなあ。
NHK「美の壺」HPhttps://www4.nhk.or.jp/P5180/
2020.10.18. 「スゴくてヤバいいきもの展」に行ってきました!
子供を連れて、名古屋パルコで開催中の「スゴくてヤバいいきもの展」に行ってきました。イロモノ企画のように思えるかもしれませんが、展示は結構しっかりしていて子供たちは真剣に見てました。
ちなみに、発光生物はいませんでした。唯一、イロカエルアンコウの展示がありましたが、これに近い種が発光するというインドのとても疑わしい論文が過去に一例だけあるくらいです。
今回の企画展のスゴヤバ・カテゴリーとしては、「凶暴」「毒」「擬態」「かわいい」「不思議」「不気味」の6つがありました。ということで、今回はそれを真似して無理やり独断で「スゴヤバ発光生物」を選んでみました!
凶暴:ダルマザメ(大型魚や海獣の肉をくり抜いて食べる小型のサメ。泳いでいた人が食われた例もある)
毒:ツキヨタケ(見た目おいしそうなのに強烈な胃腸毒がある。平安時代には毒殺に使われた?)
擬態:フォツリス属のホタル(別種のホタルのメスの発光を真似て、近づいてきたオスのホタルを食べてしまう)
かわいい:タカクワカグヤヤスデ(つぶらな瞳がチャーミング。個人の意見です)
不思議:ヒカリマイマイ(一見フツウのカタツムリなのに、口が点滅して光る)
不気味:ホウライエソ(鋭い歯をもつエイリアン顔、実際は小さいのであんまり怖くないんですが)
会場出口のグッズコーナーでは、光るキノコガチャを発見!名古屋市内2例目の発見です。やはり復活の噂は本当だったか!?
スゴヤバ展https://tv-aichi.co.jp/sugoyaba/
2020.10.16. マイナビにお答えしました
大学生の就活情報といえばマイナビですが、そのマイナビさんのサイト「学生の窓口」でギモンにお答えしました!
といっても、バイトや就活経験がまったくない私が就活についてお答えできるはずもなく、お答えしたのはホタルのこと。「ホタルはなぜ光るの」にお答えしました。
この「もやもや解決ゼミ」ですが、過去のもやもやを見てみると「バナナはおやつに入るの?」とか「夏の恋は長続きしないって本当?」とか「大学の講義でいつも同じ席に座りたくなるのはなんで?」とか、どれもかなり面白いです。「ホタルがなぜ光るのか」が、このへんの疑問と同等に面白いんだとすると嬉しいんですが、なんか明らかに負けてる気がするなあ。
マイナビもやもや解決ゼミhttps://gakumado.mynavi.jp/gmd/tags/もやもや解決ゼミ
2020.10.13. Phosphorescenceリプリント版が届きました!
9月29日に紹介したフィプソン『Phosphorescence』(1862年)。そのリプリント版がイギリスから届きました。これで心置きなく電車の中で読むことができます。そして、見てください、リプリント版のクオリティーを!
左:リプリント版 右:オリジナル(大場コレクション)
前にもこんなことがありましたが、美しいイラストレーションが完全に潰れてます!なんともコレクターを喜ばせる気の利いた計らいではありませんか!ちなみに、夏目漱石の本はすべて復刻版が出ていて、これが函から表紙の装丁まで実に忠実に復刻されているんです。私は、『三四郎』の初版オリジナルと復刻版の両方を持ってますが(自慢)、本当にそっくり。そっくりすぎて、オリジナルを持っているコレクターとしては、ちょっと寂しいんです。
2020.10.10. 久々の復活か?! 光るキノコガチャ
発光生物学者は如何なるときも発光生物探しをやめません。子供を連れてイオンモールナゴヤドーム前に行った時も、念のためチラっとガチャコーナーを覗いてみたら。。ありました!久しぶりの光るキノコガチャ。1年ぶり以上でしょうか。たぶん初登場は2015年。ロングセラーでしばらくは見かけたんですが、ここ数年はほとんど目撃されずでした。ああ、復活してくれたんですね。中断はあったといえ、5年も続いているガチャ商品って他にあるでしょうか。
とりあえずとっくにコンプリートしてますが、久しぶりに1つ買ってみました(300円)。ゲットしたのはツキヨタケ。実物と同じく傘の上面は茶色で発光しませんが、傘の裏は蓄光になっていてリアルに緑色に光ます。
中に入っている説明の紙は5年前に私が書きました。ガチャとは思えぬ学術的な内容ですよ。
当時は発光キノコの発光メカニズムは不明でしたが、その後、発光キノコのルシフェリンの化学構造が決定し、ルシフェラーゼの遺伝子が解明されたのです。
2020.10.9. ハマベvsイソ
イソミミズが発光する理由は、敵に攻撃されたときに相手を驚かせて怯ませるとか、発光する液を残してそれに相手が気を取られている隙に逃げるとか、いろいろ言われています。しかし、そもそもイソミミズを食べるような捕食者が近くにいるのか誰もまじめに見てませんでした。
トウくんがイソミミズを採りに行ったので、ついでに同じところにいた捕食者になりそうな生きものも適当に採ってきてもらいました。多かったのがハマベハサミムシ(たぶん)。確かにコイツはイソミミズを探しに行くと大量にいます。でも、恐ろしげなハサミに反して雑食性のおとなしめの昆虫だと思ってました。
トウくんとちょっと実験してみようかということで、ハマベハサミムシとイソミミズをケースに一緒にして帰宅しました。そしたら、翌日イソミミズが食われてました。それで、小さいシャーレに一緒にして戦わせてみて、撮影できたのが下の写真!
動画のキャプチャー画像だといまいちだなあ。本当はもっといい動画が撮れてて、ハサミムシが噛みついたりハサミ攻撃でアグレッシブにイソミミズに襲いかかると、暴れたイソミミズの体から黄緑色に光る発光粘液が出てきてハサミムシの口や前足に付いてハサミムシが一瞬怯む(個人の感想です)、というバトルが見られました。
トウくんが小さいシャーレにイソミミズとハサミムシを入れて持ってきたときは、正直こんな容器の中ですぐに捕食行動をするわけないでしょ、と思ったんですが、、やってみたらいきなり襲いかかってました。浜辺の生き物は、つねに波や強風で環境が擾乱されているからちょっとのことでは動じないのかな(科学者にありがちな後付け解釈)。
2020.9.29. フィプソン著『Phosphorescence』1862年
海外の古書店から本が届いた。いつ頼んだのかも忘れていたので「なに注文したっけなー」と思いながら開封してみたら、これだった。
TL Phipson. (1862) PHOSPHORESCENCE or, the emission of light by minerals, plantes, and animals. Lovell Reeve & Co.
発光がすべて燐によるものだと思われていた時代、デュボアによりルシフェリン・ルシフェラーゼの概念が誕生する以前の本である。鉱物の発光についても書かれているので、厳密には発光生物だけに特化した本ではないが、発光生物について広く一般向けに書かれた最初期の貴重な資料といえるだろう。
驚くべきは、なんとこの個体、デッドストックだった。つまり、誰も読んでない150年前の新品。写真のページ左上を見ていただくとわかると思うが、ページがすべてアンカットのまま!当時は再製本することを前提にページを切らずに仮製本したアンカット本が主流だった。でも、ちゃんとAlex Mitchellという蔵書票がついています。まあ、ミッチェルさんの積読だったということですね。
読みたいですが、さすがに150年間そのままだったページを私が切って開く勇気はありません。ということで、さっそくリプリント版を注文。また忘れた頃に届くんだろうな。
やっぱりユカタンビワハゴロモは発光することになっている。
なお、著者のThomas Lamb Phipson (1833-1908)は、科学者、作家、バイオリニストというマルチタレント。
2020.9.2. メディア好き嫌い
メディア嫌いだと公言する研究者がいます。公言はしないけれどメディアに出るのが大好きな研究者もいます。どちらも潔くていいと思うけど、私は中途半端に「好きな方」くらいかな。最近は科学番組の制作(出演から、協力、監修、コメントなど)のお手伝いをする機会が多いけれど、やはりメディアの人たちの考え方は科学者の考え方と違って「それはどうなのかな」という場面に出会うことは少なくありません。そのせいでメディア嫌いになる人がいるんだろうな、というのはわかります。でも、彼らは美しい映像を作ったり視聴者の心をとらえる構成を考えるプロです。メディアの方々と話をしていると、すごく学ぶ点があります。そもそも、私が発光生物の研究をしているのは、科学の面白さを伝えたいから。だから、メディアの作り手と考え方の方向は決して真逆ではないのです。でも、人に会うシーンの演技とかは苦手だなあ。だって、「こんにちわー」って、さっき打ち合わせで一緒だった人だし、お互いさいしょから胸にピンマイク付いてるのって変でしょ。
録音で聞く自分の声が自分の声じゃないみたいだってのはよくあることだけど、何度も聞いているうちにそのギャップがだんだんなくなってきました。俳優さんとかは、もしかするとギャップが全く感じられなくなっているのかも。
2020.8.31. LED追記
レッドレンザーT2QCを実地で使ってみた。左に回すと点灯するというのが馴染めず何度も間違えた(なんとなく右回しがONのような気がしてしまう)。それと、赤色光を使うとき一瞬でも白色光が出てしまうのが不便だった(眩しい)。
ふと思ったが、T2QCのスイッチはこうなっている 青←緑←赤←白←消
それをこうしたら全て解決ではないか! 青←緑←赤←消→白
つまり、白色光を一瞬付けたいときは右回しでON、左回しでOFF。赤色光を使いたいときは最初から左に回せば良い。
切り替えは回路だけの問題なので、なんとか改造できないものだろうか。といっても私は電気系統さっぱりわからないので、分解してみようという気は起こらない。
ワルサーPL50は、やはり一瞬点けて消すことができないので使いにくかった。作りはいいんだけどなあ。
2020.8.27. LEDライトいろいろ
やっぱり「ひかりもの」にはついこだわってしまう。調査や研究でも使うLEDライトは、いつの間にか6本も持っていた。
左上から
ワルサーPL50:ドイツの銃メーカー「ワルサー」である。さすがの作りで、持った感じは最高(値段も最高)。青いバンドがかっこいい。PL50はPLシリーズの中でも唯一の単三電池が使えるモデル(単三電池ならどこにでも売っているので安心)。小型の割に明るさも十分で、光をフォーカスできるのもよい。テールエンドのプッシュボタンを押すと100%→40%→10%と明るさが変わる。私の場合、一瞬点けてすぐ消したい場面が多いので、それができないのが惜しい。
レッドレンザーT2QC:ドイツのLEDライト専門メーカ。すでに廃盤モデルだが、4色の光が使える珍しいモデル。しかも、ヘッドを回転させると白→赤→緑→青の順で点灯させることができる。明るさ調節機能はナシ。つまり、ヘッドをひねってすぐ戻せば、一瞬点けて消すというワザが使える。一瞬点けたいのは白色光なので、これはありがたい(これの新型P7QCは、明るさ調整機能付きのプッシュボタン型なので、このワザが使えない。だからあえて旧モデルなのだ!) 。赤色光は暗順応を妨げないので発光生物を観察するときに有用。ただし、赤色光を点けるには一瞬白色光がでてしまうのが惜しい。青色光も蛍光性の生物を探すときに使えそう。緑色光は、とくに用はないけど、ホタルと交信ができるかも。
ノーブランド1000円ライト:アルミボディで作りもなかなか。明るさ調節機能ナシで、シンプルに点けて消すだけの機能しかないので、一瞬点けて消すというワザが使える。なくしても惜しくないプライスで、結局これが一番使いやすかったりする。しばらく点けていると少し熱くなってくるのが欠点。
マグライトML300:単一電池が2本入って強力長持ち。発光ゴカイの調査用に買ったが、すごく重たい割にあまり明るくない。最近は、子供の耳かき用になっている。
右上から
エバーライト:台湾のLEDメーカーのもの。台湾の国際ホタル学会でもらったノベルティ。白色光→橙色光→紫外線を使い分けられる珍しいモデル。橙色光はホタルの活動を妨げないらしい(ほんと?)。白色光を消したあと、また橙色光→紫外線をいちいち経ないと白色光が点かないのは不便。
スミス&ウェッソンGalaxy:アメリカの銃メーカーのもの。白色光と赤色光のスイッチが別になっていて、光の調整機能もないので、好きなときに好きな色の光を点けたり消したり自由にできるすぐれもの。スイッチがテールエンドではなく手元にあるのも使い勝手が良い。光が強くないのもありがたい。ただし、すでに廃盤。白色光を使いすぎてスイッチ部分が破損したため赤色光専用機として半分現役を引退している。ドイツ製だったらもうちょっと頑丈な作りだろう。
どれも一長一短だけど、その分、もっといいのはないかなと探す楽しみがある。今度のNHKの取材にはどれを持って行こうかな。今回はキノコだけだから、やっぱりワルサーかな。
2020.8.12. 羽根田先生のご親族からお話を聞くことができました!
横須賀市自然人文博物館からの正式な調査許可/依頼を得て、日本の発光生物学の父・羽根田弥太博士の人物史を調査しています。このところの新型コロナの影響で調査が進んでいませんでしたが、今回ついに羽根田先生の長女の蟹江由紀さまと、羽根田先生と同じ横須賀市博物館に居られた夫の蟹江康光さまから直接お話を聞く機会を持つことができました!
今まで知らなかったナマの羽根田博士のことをたくさん伺えて、それはそれは実りある時間でした。朝は必ずパン食で、コンデンスミルクをたっぷり入れたミルクティーが好きだったのは、シンガポール時代のイギリス人学者たちとの交流の頃の影響でしょうか。色々なエピソードから羽根田博士の飾らない一途な人柄がよくわかり、いっそう羽根田博士について知りたくなりました。
私が人物史に興味を持っている人は、世の中に3人います。チャールズ・ダーウィンと夏目漱石と羽根田弥太です。はじめの二人はそれこそ研究され尽くされていますから、もちろん私の出る幕などなく、私はただその人物研究の本を読み漁って満足しているだけです。しかし、大事なことは、この3人に共通するのは、知れば知るほどその人柄も含め愛すべき人物であったという点です。私は、科学史や文学史の専門家ではありませんから、どんなにその人が科学史的に文学史的に重要な人物であったとしても、心から愛すべき人物でなければ調べてみたいとは思わないのです。
2020.8.10. ドラえもん映画『のび太の新恐竜』を観ました!
子供たちがドラえもんの映画『のび太の新恐竜』を見に行きたい、というので連れて行った。ちなみに最近は、映画は子供映画しか観ていないので子供映画にはそれなりに詳しいつもりだが、このドラえもん新作映画は(進化がテーマだったということもあるが)とても面白く、ドラえもん50周年記念の気概を感じた。
脊椎動物の進化がある程度わかっていると、結末に向けた伏線が途中のあちこちに見えて、謎解きとしても面白い。ネタバレになるので書かないが、見終わったあと「あのシーンはここの伏線だったか!」という気付きもあった。ドラえもんが「正確に言うと、、、」と、進化生物学の注釈を入れるところがいくつかある。事実とフィクションの使い分け方がうまい。
注目は、白亜紀の夜の森のシーンのホタルである。説明は何もなかったが、明らかにホタルと思われるものが飛翔しながらゆっくりと明滅していた。しかも、その発光色は緑色であった。ホタルの発光色はわれわれ日本人のセンスからすると黄緑色か黄色にするところであるが、それが緑色であったことは私を喜ばせた。「ホタルは白亜紀に出現し、その発光色は緑色であったはず」というのが私の主張で、拙著『恐竜はホタルを見たか』(岩波書店2016)に自説を展開した。ちなみに、『恐竜はホタルを見たか』の表紙は、羽毛恐竜がホタルを見ているイラストで、今回の映画のシーンと重なるものがある。
映画PVの1分18秒から20秒くらいのところにも、そのホタルのシーンが少しだけ見える。
『のび太の新恐竜』PVhttps://doraeiga.com/2020/trailer/
そういえば、ドラえもんと私は同い年だ。
大場裕一『恐竜はホタルを見たか』https://www.amazon.co.jp/dp/4000296493/
もうすぐ、白亜紀のホタルが緑色に光っていた強い証拠が世に出るはずなんだが。。
2020.7.11. ホタル?
子供が保育園の花壇でたくさん捕まえてきた謎のムシ。子供は「わらびむし、わらびむし」と言ってますが、ワラジムシではありません。妻は「ホタル?」と言ってますが、なんか違います。ホタルの幼虫が保育園の花壇にいっぱいいたら、それはすごい!ちなみに、私は、なんかの甲虫だとは思ったけど老眼でよく見えないので、大学に持って行って実体顕微鏡で見てみました。
うーん、実体顕微鏡で見てもよく分からない!顔つきはゴミムシダマシっぽいなと思ったので、そのあたりを保育社の図鑑で調べまくった結果、たぶん「ヒゲブトハムシダマシの幼虫」だろうという結論に達しました。違うかな?
「わらびむしじゃなくて、ひげぶとはむしだましだったよ」と子供に説明したら、ふーんと言ってました。
2020.7.9. 「なぜ?なぜ?どうして?」のコーナーに答えました
誠文堂新光社の歴史ある雑誌『子供の科学』8月号の「なぜ?なぜ?どうして?」のコーナーに来た質問に答えました。「ホタルはなぜ光るのですか」という質問はよくあるけれど、「なぜ、おしりが」という発光器の位置に特化した質問には意表を突かれました。
ちょうど、豊田ホタルの里ミュージアムの川野敬介さんが出していた論文を思い出したので、それをベースに答えています。川野さんは、ゲンジボタルが飛ぶときの姿勢に注目しました。お腹を後ろに反らせると胸と腹の間に段差ができるのは、自分の眼に発光器の光が入りにくくなるからだという説を提唱しています。面白い着眼点で、さすがです。
子供の科学は、子供のころときどき買ってもらって読んでました。結構高度なことが書いてあったのを覚えています。掲載号を送ってもらったので見てみましたが、家でもできる科学実験などがたくさん紹介されていて、こういう雑誌を読める今の子供達はいいなあと思いました。
回答のタイトルは、ちょっとチコちゃん風にしてみました。。
川野さんの元文献http://www.hotaru-museum.jp/pamphlet/images/bul2018/11%20Kawano%20(2019).pdf(PDF形式:約0KB)
子供の科学HPhttps://kodomonokagaku.com
2020.7.7. シガレットカード2
楽しみにしていたWills社のシガレットカード第2弾がロイヤルメールで届きました。今度はヒカリボヤ。結局また買ったんか!と言われそうですが、この誘惑には抗えなかった。
裏面には、ヒカリボヤが最も強く光る生物のひとつであること、群体であり大きなものは4フィート2インチにもなること、など真面目な豆知識が書いてあります(ただし、最も強く光る生物だとはあまり思いませんが)。
このヒカリボヤ。イラストよりも実物は透明感があります。みなさんは触感に興味があると思いますが(ない?)、触った感じは結構硬いです。食べたらポリポリといい食感がしそう(食べたことありませんが)。
もう買いません(たぶん)
2020.6.29. NHKネット動画最前線
NHKネット動画最前線「驚きの海」にコメントしました。休日にSkypeで回答したので私が答えている動画もあったはずなんですが。Tシャツにボサボサ頭だったせいで静止画像と差し替えになってもようです(笑)。
サンディエゴの夜の海で、サーファーのボードの下が青く光っています。日本だったらヤコウチュウNoctiluca scintillansですが、サンディエゴなのでたぶんヒカリヨロイオビムシLingulodinium polyedrumのしわざです。
NHKネット動画最前線「驚きの海」https://www.nhk.or.jp/doga/movies/4026.html
2020.6.23. シガレットカード
シガレットカードとは紙巻タバコのパッケージにおまけで入っていたコレクションカードで、1940年代までアメリカとイギリスを中心に流行したそうです。まあ、ビックリマンのシールみたいなものですね。今でもコレクターが多く、珍しいものは高額で取引されているようです。
私が手に入れたのは、イギリスでシガレットカードを初めて販売したWills社のもので、おそらく1920年代のものかと思います。デザインは、ヤコウチュウとヤベウキエソ。タイトルは「Phosphorescence」です。生物発光の英語表記は、現在はBioluminescenceでほぼ統一されていますが、それ以前はPhosphorescenceが一般的でした。現在は、Phosphorescenceはリン光を意味し、非生物的な特殊な発光現象に限定されて使われています。
当時のシガレットカードのデザインを見ていると、非常に博物学的・科学的なものが多くあります。今でこそタバコは体に悪いけれどもやめられないロワークラスのイメージですが、当時は知的で金銭的にも余裕のあるアッパーミドルクラスの嗜みだったのかもしれません。
このシガレットカードも、Phosphorescenceという用語が広く知れ渡っていた貴重な証拠資料だと思います。。。などと言い訳をしながら、発光生物グッズの収集に精を出しております。化石の次はシガレットカードか!と言われそうです。それにしても、図案の博物学的高尚さとチープなイラストのバランスがたまりません!
2020.6.21. 三葉虫!
三葉虫はペルム紀末に絶滅した海産節足動物ですが、実は発光していたかもしれない「発光三葉虫」が一つだけ知られています(正確には1属)。その化石をとうとう手に入れてしまいました!
背中に1対の丸い器官が見えますが、これが発光器ではないかと三葉虫の大御所は考えています。その根拠はいろいろあるんですが、とりあえず省略。私も可能性ありだと思っています。
この化石、トルコ産のオルドビス紀中期のものだそうです。発光生物学の研究のために必要だとか自分に言い訳をして手に入れてしまいましたが、もともと化石ってあこがれだったんです。もともと収集癖のある私としては、なんか今回ヤバイ道に入り込んでしまったような気がして、当分はeBayのサーチとかはしないようにしようと思ってます。
こ、これです!中央あたりに1対の丸い「発光器」が!ちなみに、この化石が確かなものであることは、三葉虫の専門家である静岡大学の鈴木雄太郎先生に見ていただきました。
2020.6.19. 春日神社様のHPに神田左京!
本来ならば、今ちょうど国際ホタルシンポジウムの招待講演に出席するためポルトガルに滞在中で、そのまま来週から行われるスペインでの国際生物発光化学発光シンポジウムに参加しているはずだったんですが、何故かこうやってジメついた日本でじっとしているのは不思議な気分です。
そんななか、嬉しいニュースが!佐世保市にある春日神社様のホームページで、私の神田左京について以前書いたものを紹介していただきました。
神田が佐世保の出身だということは知っていましたが、春日神社との縁については私の勉強不足で知りませんでした。ところが、最近になって春日神社様から直接連絡をいただき、その縁を初めて知ったのです(くわしくは春日神社のHPを是非見てください)。
青年時代の神田は、ユニテリアン協会(キリスト教一派)に所属して、その活動が縁でアメリカへ留学。和文英訳に関する本を出すほど英語に堪能で(下の写真)、論文も英語で書く方が早かったんじゃないかというほどたくさんの英語論文を書いています。
ですので、神田左京と神社のつながりには全く思いも及ばなかったのですが、春日神社の宮司様からのご教示で、それを知ることになったのです。私が科学者として敬愛する神田左京を誇りに思ってくださっている方が神田の生まれ故郷にあったことを知り、とても嬉しくなりました。
その春日神社では今もホタルが飛び交うそうです。アメリカから帰国して突如ホタルの研究をはじめたかのように思っていましたが(アメリカから帰国した神田が発光生物の研究をなぜ始めたのかについては謎なのです)、実は幼少のころにみたホタルの記憶がどこかにあったのかもしれません。
写真は、私の所蔵する神田左京の「和文英訳てにをは軌範」(明治40年)
春日神社HPhttps://hizenkasuga.jp/
2020.6.14. スーパー発光バクテリア
近所のスーパーでメヒカリ(アオメエソ)を買ってきたので、食べる前にちょっと撮影してみたら、すごい発光バクテリア!もともとアオメエソは肛門の周りが発光器になっていて、そこに発光バクテリアを溜め込んで光っています。でも、写真で光っているのは発光器ではないですね。発光器から漏れ出たものか、それとも魚の体表にもともといたものなのか。肉眼でもはっきり見えるくらい光ってました。ちなみに、この発光バクテリアはもちろん安全ですし、鮮度が悪いとかではないのでご心配なく。皆さんも、生の海水魚やイカを買ってきたら、食べる前に押し入れとか真っ暗なところに入って見てみてください。ときどき光っているのに出会えると思います。
撮影後は、唐揚げにして美味しくいただきました。
2020.5.29. 著書が某私立中学の入試問題に出題されました!
拙著『ホタルの光は、なぞだらけ』(くもん出版)は、これまでに何度も小学校のドリルや中学校の受験問題(国語)に使用されていますが、今回、某名門私立中学校の入試問題に、ついにココが使用されてしまいました!
下村博士のことばを聞いてからは、わたしはどうどうと、こう答えています。「何の役に立つのか、わたしにもわからないのです」
この部分は、小学生の読者にこんなこと伝えていのかと迷いつつ書いてしまって、攻めすぎたかなと思ってた部分だったんですが。。。まあ、私の研究に対する本質的な主張でもあるので、なんかそれが少し認めてもらえたような気がして嬉しいです。
「これ」が指している内容を30字程度で具体的に?! そんなに深く考えて「これ」を使ってませんでした。。
2020.5.27. Pokemon LLL
ポケモンの世界にも発光するもの(とくせい はっこう)がいます。
チョンチーの発光器は、「ひれがへんかしてできた」そうです。実際のチョウチンアンコウ類と一緒ですね。ただし、チョンチーとその進化形であるランターンは雌雄とも光るようですが、本物のチョウチンアンコウはメスしかチョウチンを持ってません。
バルビートは「むしタイプ」のオスのほたるポケモンで、発光します。メスのイルミーゼもほたるポケモンですが(たぶん発光せず)匂いでオスを誘引します。実際のホタルにも、フェロモンを使ってオスを誘引している種がありますが、オスだけ光る種は思いつかないなあ(忘れてるだけかもしれませんが)。
マシェードはネマシュの進化型。ひかりでえものをおびきよせてねむらせる。実際の発光キノコも、光で昆虫などをおびき寄せいているかもしれないけれど、そのあとはよくわかっていません。
LLLhttps://www3.chubu.ac.jp/faculty/oba_yuichi/living_light_list/
2020.5.22. LLL (Living Light List)をヴァージョンアップしました!
世界の発光生物種をすべてリストアップしようという無謀なプロジェクト「Living Light List」を久しぶりにヴァージョンアップしました!ウェブ上に更新するのは久しぶりですが、ver番号が大きく増えたのを分かっていただけますでしょうか。ウェブ更新はサボっていましたが情報の収集はコツコツ行っていたんです。
今回は、鹿児島大の本村先生が日本産魚類全種目録が出版されたのを機に、魚類の和名や属名の変更、それに伴う属リストの改定などを行っています。ちなみに、今回のヴァージョンアップにより、全生物の中で発光種を含む属が907属、発光魚類が1539種、ホタル科(すべて光ると考えられる)が2305種を数えています。まあ、増えたのもあれば減ったのもあるので、数はそんなに変わってないんですが。。
写真はホウライエソのなかま。腹側にずらりと発光器がならんでいるのが見えますが、眼下と背びれにも発光器があります。
日本産魚類全種目録JAFhttps://www.museum.kagoshima-u.ac.jp/staff/motomura/jaf.html
LLLhttps://www3.chubu.ac.jp/faculty/oba_yuichi/living_light_list/
2020.5.13. 「基礎研究って面白い!生物編」に盗タンパク質を紹介していただきました!
かわいせーざんさんの「基礎研究って面白い!」に、キンメモドキの盗タンパク質について解説を載せていただきました。解説も素晴らしくわかりやすいし、漫画になるとさらに理解しやすい!漫画の力ってすごいですよね。自分で描けないのが残念。だから描ける人はうらやましいです。
不要不急の基礎研究ですが、面白いって大事だと思います。なんで大事かというと、まあ理屈をこねればできなくもないんですが。。ともかく、何かの役に立つかどうかはではないところで「科学って面白い」と思える人間って素晴らしいなあと思うんです。そういう思いを広く理解してもらうために、かわいせーざんさんの活動に強く賛同いたします。
「かわいせーざん@基礎研究って面白い!」URLhttps://note.com/fun_sci_fun_bio
2020.4.14. 信濃毎日新聞に掲載されました!
信大の先生に情報を教えていただきました。4月6日の信濃毎日新聞に載ったようです。
信濃毎日新聞は「しんまい」の愛称で長野県民に親しまれている新聞だそうで、今回、長野の多くの皆さまにもこのキンメモドキの話を知っていただけて嬉しいです。
2020.4.1. 発光生物学研究室の新しい年度です
静かに新しい年度に入りました。この研究室も早いもので、5年目に入ります。メンバーの入れ替わりなどもありましたので、HPを更新しました。
入学式も4月の授業もなくなり、国際学会も延期、海外調査の予定もキャンセルで、余裕があるかと思ったらそうでもありません。論文の投稿、論文のリバイス、本の執筆、査読、などなど何かと忙しい。これで授業が始まっていたかと思うとゾッとします。いまのうちにやるべき仕事をできるだけ片付けたいと思います。
今年度は、ひとつ重要な論文と単著が1冊出る予定。今年度も発光生物学研究室を宜しくお願いします。写真は、ギンハダカの仲間。ずらりと並んだ腹側の発光器がみごとです。