大西研究室では、動物細胞を中心とした細胞内情報伝達系に関する研究を行っています。
それでは、細胞内情報伝達系とは何でしょうか?
私達の身体の細胞は、外界からの様々な刺激や、他の細胞が分泌するホルモンやサイトカインなどに、受容体を通して応答し、増殖、分化、細胞死などを引き起こします。
特にヒトのような大型の多細胞生物は、細胞間でコミュニケーションすることによって、細胞の機能を緻密にコントロールし、効率的に生命活動が営めるようなメカニズムを進化の過程で獲得してきました。
このような細胞外からの指令を受容体から細胞質を通して核に伝え、蓄積している遺伝情報を特異的に呼び出してくるシステムが、細胞内情報伝達系です。
つまり、細胞内情報伝達系は、細胞の機能をコントロールする重要なしくみであり、生命活動の基礎であるわけです。
生活習慣病を含む多くの病気はこのような細胞をコントロールする複雑なしくみの破綻によっておきます。
ところで細胞内情報伝達系では伝達系を構成する分子から分子へ、拡大しながら情報が伝わっていきますが、そのしくみとして最も有名なものの1つがタンパク質の化学修飾であるリン酸化・脱リン酸化です。
リン酸化・脱リン酸化がスイッチとなってタンパク質の機能が活性化されたり阻害されたりし、次のタンパク質に情報を伝えます。
私たちは、遺伝子組換え技術をめいっぱい活用し、タンパク質のリン酸化・脱リン酸化によって動物細胞の機能がどのようにコントロールされているのかを研究しています。
以下に主な研究テーマについて簡単に紹介します。
- プロテインホスファターゼ入門
- 破骨細胞分化におけるプロテインホスファターゼの機能の解析
- プロテインホスファターゼ2Cの阻害剤の探索
- 内分泌かく乱物質の作用機構の解析と検出法の開発
以上、卒業研究のテーマについて述べてきましたが、
原則的に大西研究室のほとんどの4年生は、1つのテーマについてグループまたは個人で何らかの実験を行い、
得られた結果をまとめて、卒業論文を書いています。