土壌は生態系の要です。土壌は生産者である植物体を支持し、保持した水分や養分を植物に緩やかに与えて育むだけでなく、分解者である微生物や土壌動物、消費者である人間を含む大型生物の生息の場となるとともに、水を駆動力とした物質循環の場となり生態系を支えています。これらの土壌機能が十分に発揮されるためには、土壌の骨格である物理性に加えて化学性と生物性がバランスよく維持されていることが必要です。健全な土壌があってこそ、豊かな生態系が維持されます。
しかし、これまでに私たち人間は生態系の一部を過度に利用し続け、一つ一つの複雑な機能を無視してしまったために上記のバランスが崩れ、さまざまな環境問題を引き起こしてしまいました。砂漠化や塩害による不毛化した土地の拡大や汚染土壌の増大、表土の流亡などは緊急に対応を迫られている土壌に関する重大な問題です。
私たちの研究室では、土壌物理学を基軸とし、野生生物の生息と土壌環境の関係を探究することで環境保全に寄与することを大きな目標としています。実際の研究では、野外での試料採取や観察・観測および、採取試料を用いた室内実験を並行して行います。
多くの生物の生きる基盤となり支え続けてくれている土壌の研究を一緒にしてみませんか?複雑な関係を紐解いていく作業は、決して派手ではありませんが、とても楽しいですよ。