吉村研究室

ミツバチ

ニホンミツバチの訪花嗜好性の解明とハチミツの品質管理への応用

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ミツバチは社会性行動や情報交換など、他の昆虫に見られない独特の進化をとげています。特に、役割分担がはっきりした社会性昆虫であり、女王蜂を中心とした群れの中で基本的に一つの役割に専念して生活しています。

また、花粉や花蜜を食料源とし、それらを採集する際に植物の受粉媒介者(ポリネーター)としての役割の他、ハチミツやローヤルゼリーの生産などを行っています。

それらの特性を利用して、ミツバチは人間が営む農業にも多くの局面で利用されています。実際に、効率の良い農業生産のために受粉媒体(花粉の運び屋)としての利用や、ハチミツやローヤルゼリーの生産への利用はよく知られています。一方で、ミツバチが訪花を介して豊かな森林生態系における生物多様性の維持にも貢献している事実は見過ごされがちです。

すなわち、この様な自然界におけるミツバチの貢献が一般に知られておらず、ミツバチが好む外来植物を人工的に植え、本来の生態系を壊しかねない事態になっています。また、生産性の観点から、養蜂には在来種のニホンミツバチではなく、セイヨウミツバチが主に利用されているため、野生のニホンミツバチはしばしば駆除の対象となり、その生態系を顧みない農薬の散布が行われているのが現状です。

そこで本研究室では、豊かな自然や農地などに囲まれている当大学の恵那キャンパス周辺地域をモデルとして、DNA解析(DNAバーコーディング法)によりニホンミツバチの季節ごとの訪花嗜好性を明らかにすることに加え、同時期のセイヨウミツバチの花粉の解析も行うことで両者の訪花嗜好性の違いを明らかにすることを試みています。

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また、本来ミツバチの食糧である栄養が豊富なハチミツは我々にとっても食用、薬用などさまざまな用途に用いられており、蜜源植物によって風味、効能などは異なります。そこで本研究室では、ハチミツの品種を厳密に特定することで商品としての価値を高めるため、DNA解析(DNAバーコーディング法)がハチミツの品質保証でも有効かを調べています。