こんにちは!暑い日が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
中部大学では、長い夏休みが終わり、秋学期が始まる9月に突入しました。 一年生にとっては、大学生になって初めての夏休みでしたね。農場サポーターズの一年生に夏の思い出を聞いたところ、一人旅を謳歌していたり、実家に長期帰省していたりと各々エンジョイしていたようでとても素敵だなと思いました。(先輩の中には、某テーマパークで攻略法を駆使していた達人も…!?) 大学生万歳!最高ですね。学生の方は、夏の思い出を嚙みしめつつ、気持ちを切り替えて秋学期も頑張っていきましょう。
それにしてもここ数年は、冒頭でも触れたように9月でも暑い日が続いていますね。早く涼しくなってくれることと、何としても無事に稲が育ってくれることを願うばかりです。
9月は、夏休み前から行っている草刈りに加え、10月上旬に予定している稲刈りの準備を中心に活動しました。
突然ですが、みなさんは「稲刈りの準備」ってどんなことをすると思いますか?
何となく、「稲刈りで使う道具を揃えるんじゃないかなあ」みたいな感じでしょうか。概ね正解です!しかし、具体的にはどんな道具が必要なのか想像しづらいですよね。特にここ、中部大学実習農場では、機械化に頼らない昔ながらの方法で稲刈りを行うので、もしかすると皆さんのイメージとはちょっと異なるかもしれません。さっそく見ていきましょう。
まず一つ目は、稲を刈るのに欠かせない鎌(かま)です。
画像は、フリー素材サイトである「いらすとや」から引用しました。説明欄には、名称として草取り鎌とも記されており、言われてみると確かに小学生の時に校庭の清掃でこのような道具を使ったことがある気がします(少し形が違った気もしますが…)。

鋸鎌(のこぎりかま)ともいうこの鎌は、三日月型の刃先にギザギザがついているのが特徴です1)。刃が鋭くなっているのは背が高い稲を根元から刈り取ることができるようにするためで、切れ味も抜群です。おかげでザクザク刈り上げることができるので気分爽快! ストレス発散できそうです。


このようにザ・シンプル!なつくりの鎌ですが、その難点は、やはり手作業ということもあって作業時間が大幅にかかってしまうというところでしょうか。
使う機械の型にもよりますが、手作業だと一日かけても終わらないところが、稲刈り機だと一時間かからないなんてこともざらにあります。じゃあ手っ取り早く機械に切り替えたほうが効率がいいのではとツッコミを入れたくなるところですが、コンバインといった大型の機械は確かに効率的ではあるものの、収穫と脱穀を同時に行うがゆえに脱穀ロスが多くなってしまうといったデメリットがあります。ほかにも、鎌と比べてみるとよく分かるように、慣れるまで操作は複雑で難しいですし、機械の内部では鋭い刃が高速で回転しているため、エンジンをかけたままのぞき込んだり、手を入れたりして巻き込まれるという事故も少なくありません2)。どちらにしても一長一短というところでしょうか。
個人的には、中部大学の実習農場で行う稲刈りは、応用生物学部の学生や地域の方、研究室の先生のご家族やお子さんなど色々な人の協力によって成り立つ一大行事であるため、多くの人と交流できる素敵な空間だなと思っています。農場サポーターの先輩も、弥生時代から続くこの伝統的な農業を次の世代につないでいきたいと言っているのを聞いたことがあります。課題はたくさんありますが、可能な限りこれからも大切にしていきたいですね。
そしてもちろん、稲刈りで使用するのは鎌だけではありません。右の画像のように、刈った稲を束ねてから干すときに使う、物干し竿のようなものもあります。これは稲架(はさ)掛けといって、日光と風によって稲を自然乾燥させる際に使用します3)。

稲架掛けに稲を干すと、とても不思議な光景ができます。私は初めて見た時、その独特な姿にとても驚きました。何というか、日本昔話や妖怪伝説に出てくるキャラクターのように見えるんです。古き良き日本の農村風景という感じで、芸術作品のようにも思えてきます。
画像のものは、実習農場で使っているそれとは少し形が異なりますが、イメージをお伝えしたかったので載せてみました。実際の画像は、稲刈り当日の様子として次号お見せしたいと思います。お楽しみに!
また、実習農場で使用した稲用の物干し竿こと稲架掛けは、なんと農場サポーターズが自分たちで作ったものなんです。数メートルの竹を、支柱の木と組んで作るのですが、これまた大変な作業の一つでありまして、、、力自慢のサポーターズメンバーが大活躍してくれました(毎度すごいなと思っています‼)。担当した先輩に話を聞いたところ、竹に残っている枝を叩き折る「枝打ち」を行うときにかなり強い力が必要で、すごく腕が痛かったと教えてくれました。ちなみにこの竹は、マジオスクエア(51号館学生ホール)横にある竹藪からトラックで運んできたものなんだそうです。学内で自給自足…!まさに中部大学の叡智が集結しているかのようで面白いですね。
ここまで稲刈りで使用する道具について紹介してきましたが、最後にフォトギャラリーということで9月の田んぼの様子をご紹介したいと思います(コメントを添えて)。

東側と西側とで色付きや稲穂の垂れ下がり具合に差があり、成長の遅れが感じられました。先月号でも触れていたように、多くの手強い雑草に栄養を奪われたのが原因と考えられます。草取り、大事ですね(泣)

よーく見てください。稲穂が確認できますね。順調に育ってくれているのが嬉しくて、温かい気持ちになります。ん?もう一度目を凝らしてみると、画像中央に…?

先ほど述べたように成長具合に差はあるものの、数多い雑草の中でも意外と元気に育ってくれています。このたくましさを前にすると、自分もタフに生きていきたいなあと励まされます。

上の画像は、稲刈り前の活動時に撮影したものです。農場サポーターズのみんなで、稲刈り当日に向けて最終確認をしています(稲架掛けの組み立て方を動画で復習しているところですね)。
ついに、後半戦の山場であり稲作の大詰めでもある稲刈りまであと少し!無事に収穫できるよう、農場サポーター一同、気を引き締めて頑張っていきます。
今月号では、稲刈り当日に向けた準備に焦点を当ててみました。今回ご紹介したのは、あくまで中部大学実習農場で行っている(使っている)ものであって、世の中に数ある農作業のうちのほんの一例ですが、手作業での稲刈りについて、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
次号では、稲刈り当日についてレポートしたいと思います。たくさんの人が集まり協力する、お祭りのような光景をお届けします。乞うご期待!
【引用】
1)鎌を使った手作業の「稲刈り」 | 稲作の歴史とそれを支えた伝統農具 | 稲作の歴史 | クボタのたんぼ [学んで楽しい!たんぼの総合情報サイト](2025年10月23日 閲覧)
2)稲刈りの手順は?準備から効率的なコンバインの使い方、収穫後作業まで | minorasu(ミノラス) – 農業経営の課題を解決するメディア(2025年10月23日 閲覧)
3)昔ながらの「稲架(はさ)掛け」 | 収穫から食卓へ | お米ができるまで | クボタのたんぼ [学んで楽しい!たんぼの総合情報サイト] (2025年10月23日 閲覧)
作成者:國井、星野